資料154 国民学校国語教科書『初等科國語一』(本文)





 

 『初等科國語 一』


もくろく
一   天の岩屋
二   參宮だより
三   光は空から
四   支那の春
五   おたまじゃくし
六   八岐のをろち
七   かひこ
八   おさかな
九   ふなつり
十   川をくだる
十一  少彦名神
十二  田植
十三  にいさんの愛馬
十四  電車
十五  子ども八百屋
十六  夏の午後
十七  日記
十八  カッターの競爭
十九  夏やすみ
二十  ににぎのみこと
二十一 月と雲
二十二 軍犬利根
二十三 秋
二十四 つりばりの行くへ
 

 

 

 

     一 天(あめ)の岩屋

 天照大神
(あまてらすおほみかみ)は、天の岩屋へおはいりになって、岩戸をおしめになりました。明かるかった世の中が、急にまっくらになりました。
 大勢の神樣が、お集りになって、
「どうしたら、よからうか。」
と、ごさうだんなさいました。
 思ひかねの神といふちゑのある神樣が、たいそうよいことをお考へになりました。それによって、神樣がたは、いろいろなことを、なさることになりました。
 まづたくさんの鷄を集めて、しきりにお鳴かせになりました。
 ある神樣は、大きな鏡をお作りになりました。ある神樣は、きれいな玉をたくさん作って、首かざりのやうに、ひもをお通しになりました。またある神樣は、山へ行って、さか木を、根のついたままほって、持っていらっしゃいました。
 太玉のみことは、このさか木に、鏡と玉をかざって、岩屋の前にお立てになりました。
 天のこやねのみことは、岩屋の前へ進んで、のりとをおよみになりました。
 天のうずめのみことは、まひをおまひになりました。かづらをたすきにかけ、ささの葉を手に持って、ふせたをけをだいにして、とんとんふみ鳴らしながら、おもしろくおまひになりました。
 大勢の神樣は、どっとお笑ひになりました。
 あまりおもしろさうなので、天照大神は、少しばかり岩戸をおあけになって、おのぞきになりました。神樣がたは、さか木を、ずっと前へお出しになって、鏡を大神に見せておあげになりました。大神はふしぎにお思ひになって、少し戸の外へ出ようとなさいました。
 岩戸のそばにいらっしゃった天手力男
(あめのたぢからをの)神は、この時とばかり、さっと岩戸をおあけになりました。
 天照大神が外へお出ましになると、世の中が、もとのやうに明かるくなりました。
 大勢の神樣は、手をうってお喜びになりました。


     二 參宮だより

 けさ、元氣で、こちらへ着きました。
 まづ、外宮
(げくう)のおまゐりをすまして、それから、内宮(ないくう)へおまゐりをしました。
 宇治
(うぢ)橋を渡ると、悄垢箸靴燭靴个佞つづいて、鶏が遊んでゐました。五十鈴(いすず)川のきれいな水で手を洗ひ、口をすすぎました。すきとほった水の中に、たくさんの魚が、すいすいおよいでゐました。
 道の兩がはには、千年もたったかと思はれる大きな杉の木が、立ち並んでゐました。さくさくと玉じゃりをふんで、神殿の御門の前へ進みました。さうして、うやうやしく拜みました。何ともいへない、ありがたい氣がしました。
 神殿は、外宮と同じやうに、お屋根がかやでふいてありました。むねは、大きなかつを木が並んで、兩はしに、千木が高くそびえてゐました。みんな白木づくりで、金いろのかなぐが、きらきらとしてゐますが、そのほかには、何のかざりもありません。まことにかうがうしくて、しぜんと頭がさがりました。
 かへりに、たいまをいただき、宇治橋の鳥居のそばで、しゃしんをとりました。
 方々を見物して、二見へ來ました。今夜は、ここでとまります。あすは、朝早く起きて日の出を拜み、それから、橿原神宮
(かしはらじんぐう)へ向かってたちます。
 またやうすを知らせますから、たのしみにして待っておいで。さやうなら。
   四月十日                      兄から
  正男さんへ


     三 光は空から

 光は空から 若葉から、
 明かるい、明かるい 若葉から。
  天長節は うれしいな。

 花から花へ てふがまひ、
 花から花へ はちがとぶ。
  天長節は うれしいな。

 小鳥のおんがく ほうほけきょ、
 ちいちい、ぴぴい、ほうほけきょ、
  天長節は うれしいな。

 川が流れる、野がつづく、
 ふもとの町は 旗のなみ、  
  天長節は うれしいな。  


     四 支那の春

  川ばたのやなぎが、すっかり悗なりました。つみ重ねたどなうの根もとにも、いつのまにか、草がたくさん生えました。
 あたりは、うれしさうな小鳥の聲でいっぱいです。
「もうすっかり春だなあ。」
「ここで、あんなにはげしい戰爭をしたのも、うそのやうな氣がするね。」
 どなうの上に腰かけて、川の流れを見つめながら、日本の兵たいさんが二人、話をしてゐます。兵たいさんは、今日は銃を持ってゐません。てつかぶともかぶってゐません。二人とも、ほんたうに久しぶりのお休みで、村のはづれまでさんぽに來たところです。
「兵たいさん。」
「兵たいさん。」
大きな聲で呼びながら、支那の子どもたちが、六七人やって來ました。
「おうい。」
 兵たいさんがへんじをすると、みんな一度に走り出しました。子どもたちといっしょに、遒い屬燭筺△佞箸辰燭劼弔犬二三匹走って來ます。
 兵たいさんのそばまで來ると、子どもたちは、いきなりどなうの上にかけあがらうとして、ころげ落ちるものもあります。先にあがった子どもの足を引っぱって、はねのけようとするものもあります。
「けんくゎをしてはいけない。」
「仲よくあがって來い。」
大きな聲で、兵たいさんがしかるやうにいひます。しかし、にこにこして、うれしさうな顔です。
 先にかけあがった子どもは、兵たいさんにしがみつきます。あとから來た子どもは、兵たいさんのけんにつかまったり、くつにとりついたりします。
「これは、たいへんだ。さあ、お菓子をあげよう。向かふで遊びたまへ。」
「氷砂糖をあげよう。橋の上で仲よく遊びたまへ。」
兵たいさんたちは、ポケットから、キャラメルの箱や、氷砂糖のふくろを取り出しました。
「わあっ。」
と、子どもたちは大喜びです。ぶたもひつじも、いっしょになって大さわぎです。
 お菓子をもらふと、子どもたちは、おとなしく川のふちに腰をおろしたり、ねそべったりしました。さうして、お菓子をたべながら、歌を歌ひ始めました。まだ上手には歌へませんが、兵たいさんに海悗討發蕕辰拭岼υ行進曲」です。
 川の水は、靜かに流れてゐます。どっちから、どっちへ流れるのかわからないほど、靜かに流れてゐます。
 川の向かふは、見渡すかぎり、れんげ草の畠です。むらさきがかった赤いれんげ草が、はてもなくつづいてゐます。
 どこからともなく、綿のやうに白い、やはらかなやなぎの花がとんで來ます。さうして、兵たいさんのかたの上にも、子どもたちの頭の上にも、そっと止ります。
 寒い冬は、もうすっかり、どこかへ行ってしまひました。靜かな、明かるい、支那の春です。


     五 おたまじゃくし

 おたまじゃくしは、毎日、大勢の兄弟や仲間といっしょに、池の中を泳いでゐました。まるで、ありの行列のやうに、あとからあとから、ぞろぞろとつづいて行きました。どれも、これも、まるい頭をふり、長い尾をふって、元氣よく泳いでゐました。
 おたまじゃくしは、手も足もなくて泳げるのですから、自分たちの親が、あの四本足の蛙だらうとは、思ってゐませんでした。それよりも、ときどき池の中で見かける鯉やふなが、親ではないかと思ったことがありました。また、小さなめだかを見ると、これも、自分たちの仲間ではないかと、思ったこともありました。
 しかし、おたまじゃくしには、たくさんの兄弟があるのですから、親のそばにゐなくても、ちっともさびしくはありませんでした。また、めだかや、どぢゃうなどといっしょに、遊ばなくてもよいのでした。
 春の日は、だんだん過ぎて行きました。水草が悄垢箸里咫⊃紊両紊砲蓮△箸どきとんぼがとんで來て、かげをうつすことがありました。
 このころになると、おたまじゃくしは、尾のつけ根のところが、少しふくれて來ました。初めは、それと氣がつかないほどでしたが、のちには、だんだんふくれ出して、とうとう、それが二本のかはいらしい足になりました。
 おたまじゃくしは、何だかおそろしいやうな、うれしいやうな氣がして、わいわいさわいでゐました。さうして、ときどき、水の上へ、顔を出してみたりしました。
 それから、また何日かたちました。今度は、胸の兩わきが破れて、そこからも二本の足が出ました。
 四本足になったおたまじゃくしは、尾が、だんだん短くなって行きました。さうして、水の中にゐるのが、いやになって來ました。水の中にゐると、何だか息がつまるやうな氣がしました。水の上へ顔を出すと、氣がせいせいするやうに思ひました。
 ある日、岸の草につかまって、池の外へ出てみました。もう夏の初めでした。草が、悄垢般个辰討陲泙靴拭6には、お日樣が、ぎらぎら光ってゐました。
 あと足を曲げて、前足をついてすわったかっかうは、これまでのおたまじゃくしではありませんでした。かうして、陸へあがったたくさんの子蛙は、草のかげのあちらこちらを、うれしさうにとびまはりました。

  
     六 八岐
(やまた)のをろち

 天照大神
(あまてらすおほみかみ)の御弟に、すさのをのみことと申して、たいそう勇氣のある神樣が、いらっしゃいました。
 出雲
(いづも)におくだりになって、ひの川にそって歩いていらっしゃると、川かみから箸(はし)が流れて來ました。みことは、「この川かみに人が住んでゐるな。」とお思ひになって、川について、だんだんおくへおはいりになりました。すると、おぢいさんとおばあさんが、一人の娘を中において、泣いてゐました。
「なぜ泣くのか。」
と、みことがおたづねになると、おぢいさんが、
「私どもには、もと娘が八人ございましたが、八岐のをろちといふ大蛇
(だいじや)
  
に、毎年一人づつ取られて、殘ったのは、もうこの子だけになりました。それ
 に、今年もまた、その大蛇が出て來るころになりましたので、この娘に別れる
 のが悲しくて、泣いてゐるのでございます。」
と申しました。
「いったい、どんな大蛇か。」
「その目はまっかでございます。一つのからだに頭が八つ、尾が八つ。からだは、
 八つの山、八つの谷につづくほどで、せなかには、こけも木も生えてをります。」
 みことは、この話をお聞きになって、
「よし、その大蛇をたいぢてやらう。強い酒をたくさんつくれ。それを、八つのを
 けに入れて、大蛇の來るところに並べておけ。」
とおいひつけになりました。
 そのとほりに用意しました。するとまもなく、あの恐しい大蛇が出て來ました。酒を見つけて、八つの頭を八つのをけに入れて、がぶがぶと飲みました。
 そのうちに、よひがまはって、大蛇は、とうとう眠ってしまひました。
 みことは、劒を拔いて、大蛇を、ずたずたにお切りになりました。血が、たきのやうに出て、ひの川が、まっかに流れました。
 みことが、尾をお切りになった時、かちっと音がして、劒の刃がかけました。ふしぎにお思ひになって、尾をさいてごらんになると、たいさうりっぱな劒が出て來ました。
「これは、たふとい劒だ。」
と、みことはお思ひになりました。
 みことは、その劒を、天照大神におさしあげになりました。

 
     七 かひこ

 をばさんのうちから、二眠をすましたかひこを、二十匹もらって來ました。それを箱に入れて、ねえさんに見せると、
「まあ、かはいいかひこね。でも、桑の葉をどうしたらいいかしら。」
といひました。私は、かひこがほしくてたまらないので、もらって來ましたが、さういはれてみると、うちには、桑の木がないことに氣がつきました。
 二十匹のかひこは、桑の葉をほしさうにして、動いてゐます。私は、竹田さんのところへ走って行きました。あそこの畠に、桑の木があることを思ひ出したからです。
 さっそく、桑の葉をもらって來て、箱の中へ入れてやりますと、ねえさんは、
「葉が大きくて、たべにくいから、きざんでやりませう。」
といひました。小刀で、葉を切ってやりました。かひこは上手にたべました。
 ある朝、大雨が降りました。風も吹いてゐましたが、私は、いつものやうに、桑をもらってかへって來ました。
「ぬれた葉を、かひこにやってはいけませんよ。」
と、ねえさんにいはれたので、私は、桑の葉を一枚一枚ていねいにふいて、かわかしてから、かひこにやりました。
 二日ほどたつと、かひこは眠りだしました。私たちなら、横になってねるのに、かひこは、頭をちゃんとあげて眠ります。それも、一日中、そのまま眠りとほすので、首がつかれないだらうかと思ひました。
 私は、早くまゆを作るところが見たいので、ねえさんに、
「いつごろまゆを作るでせう。」
と聞くと、
「今、三眠ですから、もうあと一度眠ったら、まゆを作りますよ。」
といひました。
 むしあつい日がつづいて、かが出るやうになりました。ある夜、私が本を讀んでゐますと、あまりかが多いので、かとり線香をつけました。
 そのあくる日の朝、箱をのぞいて見ると、どうしたことでせう、あんなに元氣のよかったかひこが、みんな弱ってゐるではありませんか。
 私はおどろいて、ねえさんを呼びました。
「ゆうべ、桑をやるのを忘れませんでしたか。」
「いいえ、新しいのをたくさんやっておきました。」
「どうしたのでせうね。」
ねえさんも考へてゐましたが、
「このへやで、かとり線香をつけませんでしたか。」
とたづねられて、私は、はっとしました。
「ええ、ゆうべ、つけました。」
「あ、それですよ。かひこは、あれが大きらひですからね。」
「ねえさん、助かるでせうか。」
「さあ。」
 私は、あわてて窓をあけました。桑をもらひに行く途中も、心の中で、「どうぞ、元氣になりますやうに。」といのりました。
 つみたての桑の葉をやると、かひこは、どうやらからだをのばすやうにして、そろそろたべ始めましたので、私はほっとしました。
 けれども、どうしても桑をたべようとしないのが、五匹ゐました。そののち、だんだんやせて行って、三日めには、五匹とも死んでしまひました。
 四度めの眠りをすましたかひこは、二日三日すると、からだもずっと大きくなって、桑の葉を、おいしさうに、たくさんたべました。
 そのうちに、愬鬚ったからだが、だんだんすきとほって見えるやうになりました。ねえさんは、
「さあ、もうぢき、まゆを作りますよ。」
といひました。
 ねえさんに、こしらへてもらったわらのおうちを、箱の中へ入れてやると、かひこは、靜かにはひあがって來て、「さて、どこにまゆを作らうかな。」といふやうなやうすをしました。
 かひこは、糸をはき出しました。目に見えないやうな細い糸を、さかんに口から出して、自分のからだのまはりを包んで行きました。
「あんな悗しの葉をたべて、よく、こんな白い糸が出て來るものですね。」
と、ふしぎに思っていひますと、ねえさんも、
「ほんたうにね。」
といひました。
 初めは、うすい、うすい紙のやうなまゆでしたが、それが、だんだんあつみをもって來て、かひこは、まゆの中に、かくれて見えなくなりました。
 ある日、竹田さんが遊びに來ました。私が、かひこの箱を見せますと、
「あら、きれいなまゆができましたね。」
と、感心したやうにいひました。
  

     八 おさかな

 皿のおさかな、
 どこから來たの。
 皿のおさかな、
 海から來たの。

 海はひろびろ
 なみの底、
 たひやかつをが
 ゐたでせう。

 こんぶの林が
 あるでせう。
 わかめの野原が
 あるでせう。

 皿のおさかな、
 もう一度、
 泳ぐところが
 見たいなあ。



     九 ふなつり

「このへんが、つれさうだね。」
と、にいさんが、小川をのぞきこんでいひました。
 水草が、たくさん生えてゐました。きっと、魚がかくれてゐるにちがひありません。私たちは、急いでつりのしたくをしました。
 にいさんが、ひゅっと、つり竿をふると、つり糸が、空に大きなわをゑがきました。ぽんと音をたてて、うきが水の上へ落ちると、波のわが、だんだん大きくひろがりました。にいさんと並んで、私もつり始めました。
 二人は、じっと、うきを見つめました。
 あたりは靜かで、ときどき、川かみの板橋の上を通る荷車のひびきだけが、聞えて來ます。
 ぴく、ぴく、ぴく──にいさんのうきが動きました。にいさんは、あわてて引きあげました。
「なんだ、ゑさを取られたのか。」
と、つまらなささうに笑ひました。
 空の雲が水にうつって、うきのそばを、ゆっくり流れて行きます。
 ぐぐ、ぐぐっと、今度は私のうきが、水の中へ引きこまれました。強い手ごたへが、つり竿をつたはって來ました。はっと思って引きあげようとすると、重くてなかなかあがりません。つり糸がぴんとはって、つり竿の先が、おじぎをするやうに、しきりに動いてゐます。
「五郎、おちついてあげるんだよ。」
と、にいさんがいひました。
 にいさんと二人で、氣をつけながら引きあげると、大きなふなが、水ぎはでぴちぴちはねて、うろこがきらきらと光りました。


     十 川をくだる

 私は、一度、川にそって川口まで行ってみたいと思ってゐました。
 おとうさんが、許してくださったので、きのふの日曜日に、にいさんと二人で出かけました。
 朝つゆにしめった小道を通って行くと、川の岸へ出ました。
 流れが急で、白い波が、石と石との間にわき返ってゐました。
 岸は、慷佞任ほはれてゐますが、ところどころに、つつじの赤い花が咲いてゐました。にいさんといっしょに、唱歌を歌ひました。すると、川の音も、同じ唱歌を歌ってゐるやうに聞えました。
 茂った竹やぶがあって、しばらく川が見えなくなりましたが、「ド、ド、ド、ド。」といふ水の音が聞えて來ました。川が、たきになって落ちてゐるのでした。
 ときどき、流れがゆるやかになって、悄垢反紊鬚燭燭悗討陲泙靴拭川原の石の上を、せきれいがとんでゐました。
 しばらく行くと、向かふの岸から、小川が流れこんで來ました。こちらの岸からも、小川がそそぎこんでゐます。ちゃうど親の手に、子どもがすがりつくやうでした。
 まもなく、川の近くにある停車場に着きました。汽車が來たので、それに乘りました。汽車が走り出すと、すぐトンネルにはいりました。出ると、高いところを走ってゐるので、川は、ずっと下の方に見えました。
 だんだん兩岸が開けて來て、川はばが廣くなりました。ところどころに中洲があって、小さな木が生えてゐました。川はおだやかになって、音もなく流れてゐます。
 汽車が鐵橋を渡ると、今まで左手に流れてゐた川が、右手を流れて、日の光をあびて、まぶしいほど光りました。
 村のふみきりを通る時、子どもがこちらを見て、ばんざいをしてゐました。
 渡し場がありました。船頭さんが、舟をこいでゐました。舟には、子牛も乘ってゐました。
 汽車が止ったので、私たちはおりました。
 今度は、そこから馬車に乘って、川口の町まで行くことにしました。
 「ポポー。」と、ラッパを鳴らしながら、川岸の道を走って行きました。そのへんは麥畠で、麥のほが出そろって、一めん黄色くなってゐました。
 川の向かふ側に、工場があって、高いえんとつから、茶色な煙が出てゐました。川の水は、すんではゐませんが、悗ざをうつしながら、ゆっくりと流れて行きます。
 町の入口で、私たちは馬車をおりました。あみを干してあるのが、あちこちに見えました。車にかつををたくさんつんで、ゐせいよく引いて行くのに出あひました。
 町を通りぬけて、川口に近い岸に立つと、海が見えました。舟が、何ざうもつながれてゐました。川の水は、ここで海へ流れこんでゐます。
 頭のすぐ上を、かもめが、五六羽とんで行きました。いその香をふくんだ風が、そよそよと吹いてゐました。
 その夜、私は、次のやうなことを書いて、おとうさんにお目にかけました。
 川は初め走って流れてゐました。
 白い波をたてて、走ってゐました。
 つかれると、ときどき木かげに休んだり、さうかと思ふと、急に高いところか
 らとびおちたりします。
 小さな川と、仲よく手をつないで、川は、いつのまにか大きくなります。
 きらきらと光って笑ったり、悗すんで、じっと考へこんだりします。
 川にも、いろいろな心持があるやうに思ひました。


    十一 少彦名神
(すくなひこなのかみ)

 大國主神が、出雲
(いづも)の海岸を歩いていらっしゃいますと、波上に、何か小さな物が浮かんで、こっちへ近寄って來ました。
「何だらう、あれは。」
と、大國主神は、お供の者におっしゃいましたが、お供の者にもわかりませんでした。
 だんだん近寄って來るのを、よく見ると、豆のさやのやうな物を舟にして、それに何か乘ってゐました。
「豆のさやに、虫が乘ってゐます。」
と、お供の者が申しました。
 しかし、虫ではありませんでした。虫の皮を着物にして着ていらっしゃる、小さな神樣でありました。
 大國主神は、
「小さな神樣だなあ。いったい、何といふお方だらう。」
と、おっしゃいますと、お供の者は、
「こんな小さな神樣を、私は、見たことも、聞いたこともございません。」
と申しました。
「あなたは、どなたですか。」
と、大國主神は、その神樣に、おたづねになりましたが、へんじをなさいません。
 その時、ひょっこり出て來たのは、ひきがへるでありました。大國主神は、
「おお、ひきがへる、よいところへ來た。おまへは、方々へ出歩いて、何でもよく知ってゐるが、この小さなお方の名を知らないか。」
ひきがへるは、目をぱちくりさせながら、
「いや、ぞんじません。きっと、あのもの知りのかかしが、知ってゐるでございませう。」
と申しました。
 かかしは、田の中に立って、四方を見てゐるので、何でもよく知ってゐました。大國主神は、かかしに向かって、
「おうい、おまへは、この小さなお方を知ってゐるか。」
すると、かかしは、
「それは、少彦名神といふ神樣でございます。からだは小さいが、たいそうちゑのあるお方でございます。」
と答へました。
 大國主神は、たいそうお喜びになって、少彦名神を、おうちへおつれになりました。
 二人は、兄弟のやうに仲よくなさいました。心を合はせて、野や山を開いて田や畠にしたり、道をつけたり、川に橋をかけたりなさいました。人間や、牛や、馬の病氣も、おなほしになりました。
 ある日、少彦名神は、おっしゃいました。
「私は、いつまでも、ここにゐるわけにはいきません。これで、おいとまいたします。」
大國主神は、おどろいて、
「どうして。どこへおいでになるのですか。」
「遠いところへ行きます。」
「何しに行くのです。」
「新しい國を開きに。」
かういひながら、少彦名神は、あはの莖につかまって、するすると、おのぼりになりました。すると、一度しなったあはの莖が、はね返るひゃうしに、小さな神樣のおからだは、ぽんと空へとびあがりました。
「さやうなら。」
と一聲おっしゃったまま、少彦名神は、もうお姿が見えなくなってしまひました。



    十二 田植

 そろた、出そろた、
 さなへが、そろた。
 植ゑよう、植ゑましょ、
 み國のために。
  米はたからだ、たからの草を、
  植ゑりゃ、こがねの花が咲く。

 そろた、出そろた、
 植ゑ手も そろた。
 植ゑよう、植ゑましょ、
 み國のために。
  ことしゃ ほう年、穗に穗が咲いて、
  みちの小草も 米がなる。
  

    十三 にいさんの愛馬

 國男、今日は、軍隊の馬のことを知らせてあげよう。
 毎朝、にいさんたちは、きっと馬屋へ行く。馬屋には、それぞれ受持の馬が、ちゃんと待ってゐるからだ。
 馬屋へ行って、馬をねどこから外へつれ出し、ひづめを洗ひ、鐵で作ったくしとはけで、馬のからだをこすって、きれいにしてやる。すると、馬は、おとなしくじっとしてゐる。氣持がよくて、うれしいのだらう。
 入營したてのころは、馬のそばへ近寄ることが、こはかった。「オーラ、オーラ。」といひながら、こはごは馬に近づく。馬は、おとなしくしてゐる。それでも、馬の足をかかへて、ひづめを水で洗ってやるのには、なかなか勇氣がいった。もう、今では、なれてしまって、そんなことは何でもなくなってしまった。
 あたたかい馬のからだや、すべすべした、やはらかい毛なみにさはると、もう、手入れをしないではゐられない。自分の馬が、ほかの馬にくらべて、少しでもきたないと、何だか馬にすまない氣がする。それで、手入れにむちゅうになるのだ。
 これほど、毎日馬をかはいがってやると、馬の方でも、ちゃんとにいさんをおぼえてしまふ。「ヒヒン。」とないて、大きな目で、じっとにいさんを見つめる。
 國男のすきなうちの犬を、「しろ、しろ。」と呼ぶと、しろが尾をふってとんで來るやうに、にいさんの愛馬安友も、「やす、やす。」といってやると、いかにもうれしさうに前足をあげて、かるく地面をたたく。かうなると、もう馬ではなくなって、まったくの友だちになってしまふ。だから、自分のかはいがった馬のことは、いつまでも忘れられないで、お正月には、馬にあてて、年賀状をよこす兵隊さんもあるさうだ。
 にいさんは、いつも、腰にふくろをさげてゐる。愛馬ぶくろといって、その中には、馬のだいすきなにんじんがはいってゐるのだ。
 いつか國男にも、にいさんの愛馬を、ぜひ見せたいと思ってゐるが、その時は、きっと、にんじんを忘れないやうに頼むよ。

 
    十四 電車

 にいさんと、電車に乘りました。
 人がいっぱい乘ってゐて、あいてゐる席は、一つもありませんでした。私が、にいさんと並んで立ってゐますと、すぐ前に掛けてゐたよそのをぢさんが、私の顔を見ながら、
「ぼっちゃん、ここへお掛けなさい。」
といって、立ってくださいました。私は、
「いいんです。ぼく、立ってゐますから。」
といひましたが、をぢさんは、
「いや、わたしは、もうぢきおりますから、かまはずに、お掛けなさい。」
といひながら、あっちへ行きかけました。
「どうも、ありがたう。」
と、にいさんがいひました。
「ありがたう。」
と、私もいひました。
「せっかく、あけてくださったのだ。おまへ、お掛け。」
と、にいさんがいひましたから、私は掛けました。
 次の停留場へ來た時、をぢさんは、そこでおりるのかと思ったら、おりませんでした。
 それから、二つ三つ停留場を過ぎて、表町まで來ますと、人がたくさんおりて、席があきました。をぢさんも、ここでおりました。にいさんは、私のそばへ掛けました。
 しかし、入れ代りに、大勢の人が、どやどやとはいって來ました。席はみんなふさがった上に、立ってゐる人も、たくさんありました。
 いちばんあとからはいって來たのは、七十ぐらゐのおばあさんと、赤ちゃんをおぶったをばさんとでした。
すると、にいさんが、小さな聲で、
「立たう。」
といひました。
おばあさんとをばさんが、ちゃうど私たちの前へ來た時、私たちは、すぐ立って、席をゆづりました。二人は喜んで、
「どうも、ありがたうございます。」
といひながら、ていねいにおじぎをして、掛けました。
 電車は、また動きだしました。
 

    十五 子ども八百屋
(やほや)

 
子どもの車だ、
 八百屋の車だ、
 子どもの買出し。
  押せ押せ、車を、
  よいしょ、よいしょ。

 おとうさんは出征、
 おかあさんと四人で、
 八百屋だ、毎日。
  押せ押せ、車を、
  よいしょ、よいしょ。

 くに子も、ひさ子も、
 あと押し頼むぞ。
 にいさん、しっかり。
  押せ押せ、車を、
  よいしょ、よいしょ。

 きうりも、おなすも、
 かぼちゃも、トマトも、
 にこにこしてます。
  押せ押せ、車を、
  よいしょ、よいしょ。

 おかあさんが待ってる。
 お客も待ってる。
      
 急いで、かへらう。
  押せ押せ、車を、
  よいしょ、よいしょ。 



    十六 夏の午後

「ジーッ。」と、せみが鳴きだした。
 ぼくは、はだしで庭へ出た。せみは、桐の木で鳴いてゐる。そっと行って見ると、一メートル半ぐらゐの高さのところに、あぶらぜみが一匹止ってゐる。せいのびして、手をのばしてみたが、だめだ。ぼくの手先より二十センチも高い。取れないと思ふと、くやしくなって、木の幹をとんとたたく。せみは、びっくりしたやうに、「ジジ。」と聲をたてて、とんで行った。
 井戸ばたへ行って、足を洗った。ざあっと、つめたい水をかけると、いい氣持だ。げたをはいて、うらの畠へ行ってみる。
 なすも、きうりも、みんな暑さうにぐったりしてゐる。きうりにそへて立ててある竹に、とんぼが止ったり、はなれたりしてゐる。
 畠のすみの日まはりは、暑い日をいっぱい受けて、金のお皿のやうなのが、三つ咲いてゐる。今では、ぼくよりもずっとせいが高いが、これもぼくが植ゑたのだと思ふと、何だかかはいい氣がする。
 暑い、暑い。うちへかへって、えんがはに腰を掛けてゐると、川で、だれか遊んでゐるらしい。樂しさうな聲が聞えて來る。さうだ、ぼくも行ってみよう。
「おかあさん、川へ行ってもようございますか。」
と大きな聲で聞いてみると、
「あぶないから、よく氣をおつけなさい。」
と、あちらでおかあさんの聲がした。
 ぼくは、帽子をかぶって、いちもくさんに走って行った。



    十七 日記

  七月十六日 月曜日 
 朝起きると、おとうさんは、もう庭の朝顔のせわをしてゐられた。
「ほうら、こんな大きな、赤い花が二つ咲いた。」
と、にこにこ顔。
 學校では、三時間めに、三年生以上の合同體操があった。暑い夏の日が、かんかんてりつける中で、行進をしたり、かけ足をしたり、體操をしたりした。
  七月十七日 火曜日 
 けさは、朝顔が三つ咲いてゐた。水色が二つに、赤が一つ。
 學校では、四時間めに、共同作業をした。ぼくたちは、校舎のうらの草をむしった。先週の金曜日に拔いたのに、もうのびた草がだいぶある。一本一本きれいに拔いた。とし子さんが「きゃっ。」といったので、見ると大きなみみずがゐる。先生が、
「みみずぐらゐに、どうしてそんな聲をたてるのです。」
とお笑ひになった。
  七月十八日 水曜日 くもり
 くもってゐたせゐか、朝からむし暑かった。朝顔は、二つ咲いてゐた。赤一つ、白一つ。
 三時間めの合同體操の時は、汗でべとべとした。夏は、かんかんとてった方が、氣持がいいと思った。
 夕はんがすんでから、おかあさんと、ねえさんと、ぼくと三人で、えん日へ行って、すず虫を買ってかへった。ねる時には、涼しさうな聲で鳴いてゐた。
  七月十九日 木曜日 
 朝起きると、すぐすず虫を見た。元氣なので、安心した。きうりを少しやった。
 學校からかへってみると、戰地の兵隊さんから、はがきが來てゐた。この前、ゐもんぶくろと、ゐもん文を送ったので、そのへんじであった。送ってあげたつりだうぐで、魚をつるのが樂しみだと書いてあった。
  七月二十日 金曜日 
 今日は、海の記念日である。
 朝禮の時間に、ラヂオでも、そのお話があった。骸爾如∪萓犬ら、
「今日が、どうして海の記念日になったのでせう。」
と聞かれた時、
「明治九年の今日、明治天皇が、明治丸といふ帆前船で、北海道から、横濱へおか
 へりになったからです。」
と、朝ごはんの時、ねえさんから聞いたことをお答へした。
 ラヂオは、一日中、海のお話や、音樂で、にぎやかであった。



    十八 カッターの競爭
 
 今日は、海の記念日で、海軍のカッターの競爭がありました。
 夏の空は、からりと召譴董白いかもめが、海の上を、すいすいとんで行きます。悗で箸両紊法∪屐η髻Σ・みどりの旗が浮かんでゐます。カッターの競爭の出發線です。沖の方にも、同じやうな旗が小さく見えます。海岸も軍艦の上も、おうゑんの水兵さんたちで、いっぱいです。
「おまへたちは、この軍艦を代表して、競爭するのだ。今日こそ、日ごろきたへた
 力を、ためすことができる。みんな心を合はせて、一生けんめい、たふれるまで
 こぐのだぞ。」
といふ艦長のことばにはげまされて、白組十三人の選手は、カッターに乘りうつりました。日にやけた、まっ遒粉蕕法白いはちまきをしっかりしめてゐます。艇長
(ていちやう)が、
「かい、ひたせ。」
と號令を掛けると、
「オー。」
と、掛聲勇ましく、かいをいっせいに水にひたします。やがて、「ザ、ザ、ザー。」と、力強く水をかきますと、あの太いかいが、弓のやうに曲りました。
 出發線に、四さうのカッターが並びました。用意のラッパが鳴りました。「ドン。」と出發のあひづです。
 カッターは、いっせいにこぎ出しました。十二本のかいは、まるで一本のかいのやうに、きちんとそろひます。一かきごとに、ぐんぐん早さをまして進みます。はく手が、あらしのやうに起りました。
 カッターは、だんだん遠ざかって、小さくなりました。旗を立てた船が、たくさん出てゐて、しきりにおうゑんをしてゐます。
 沖の旗をまはって、四さうのカッターは、だんだん、こちらへ近づいて來ました。
 決勝線まで、わづか二百メートルぐらゐになりました。まだ勝ち負けはわかりません。選手は、力いっぱいこいでゐます。艇長は、大きな掛聲で、選手をはげましてゐます。最後の百メートルといふところで、白が、ぐいぐい出て來ました。
 はく手が、さかんに起りました。
「ドン。」
決勝を知らせる銃の音がしました。
 白が勝ったのです。
 白のカッターからは、さっと、かいがいっせいに立ちあがりました。十三人の選手の顔は、にこにことうれしさうでした。



    十九 夏やすみ

 あすからうれしい夏やすみ、
 まぶしく召譴紳膓に、
 ま白な雲が浮いてゐる。

 あすからうれしい夏やすみ、
 山べに野べに白ゆりが、
 ゆめ見るやうに咲いてゐる。

 あすからうれしい夏やすみ、
 まき場のこまが朝風に、
 いななきながら呼んでゐる。

 あすからうれしい夏やすみ、
 大波小波うち寄せて、
 海がわたしを待ってゐる。



    二十 ににぎのみこと

 天照大神
(あまてらすおほみかみ)は、ににぎのみことに、
「日本の國は、わが子わが孫、その子その孫の、次々にお治めになる國であります。みことよ、行ってお治めなさい。おだいじに。天皇の御位は、天地のつづくかぎり、いつまでもさかえませうぞ。」
と仰せになりました。さうして、御鏡に、御玉と、御劒をおそへになって、みことにお渡しになりながら、
「この鏡は、わがみたまとして、だいじにおまつりなさい。」
と仰せになりました。ににぎのみことは、つつしんでお受けになりました。
 大勢の神樣が、お供をなさることになりました。いよいよおたちといふ時、先發の者が、急いでかへって來て、
「下界へ行く途中に、恐しい男が、道をふさいで立ってをります。せいも高うございますが、鼻が恐しく高く、目は、鏡のやうでございます。その上、からだ中から光を出して、天も地も、明かるいほどでございます。」
と申しました。
 天照大神は、このことをお聞きになって、
「それは何者であらう。天
(あめ)のうずめ、たづねてまゐれ。」
とおいひつけになりました。
 天のうずめのみことは、しっかりした、しかもおもしろいお方でありました。行ってごらんになると、なるほど相手は恐しさうな男です。うずめのみことは、わざと、おどけたやうすをして、お笑ひになりました。すると、その恐しさうな男がいひました。
「おまへはだれだ。どうして、そんなに笑ふのか。」
「おそれ多くも、皇孫ににぎのみことのお通りになる道を、ふさいで立ってゐるあなたこそ、だれです。」
と、うずめのみことは、お問ひ返しになりました。
 相手は、急にやうすをかへて、
「いや、私は、皇孫がおいでになると承って、ここへお迎へに出てゐる者です。私が御案内いたします。私の名は、猿田彦
(さるたひこ)と申します。」
といひました。
 うずめのみことは、かへってこのことを申しあげました。
 ににぎのみことは、天照大神に、おいとまごひをなさって、大空の雲をかき分けながら、勇ましくおくだりになりました。猿田彦
(さるたひこの)神が、先に立って、御案内申しあげました。
 ににぎのみことは、日向
(ひうが)の高千穗(たかちほ)の峯におくだりになりました。さうして、天照大神のおことばどほりに、日本の國をお治めになりました。

 
   二十一 月と雲

  月夜の晩、子どもたちが五六人集って、かげふみをして遊んでゐました。
 そのうちに、月に雲がかかりました。月は、雲にはいったかと思ふと、すぐ出、出たかと思ふと、すぐまたはいります。かうなっては、かげふみもできません。子どもたちは遊ぶことをやめて、しばらく月を見てゐました。
 すると、一人の子どもがいひました。
「あれは、お月樣が走ってゐるのだらうか、雲が走ってゐるのだらうか。」
 月は、今、雲から出て、大急ぎではなれて行きます。さうして、次の雲の方へ、どんどん走って行きます。
「お月樣が走ってゐるのだよ。」
と、一人の子どもがいひました。
 しかし、じっと月をみつめてゐますと、月は動かないで、雲が大急ぎで飛んで行くやうに見えます。
「お月樣ではない。走ってゐるのは雲だ。」
といふ子どもがありました。
 しばらくは、「月が走る。」「雲が走る。」と、たがひにいひはってゐました。
 みんながわいわいいふのを、初めからだまって聞いてゐた一人の子どもがありました。その子どもは、この時、みんなからはなれて、前の方にある木のそばへ行きました。さうして、しばらく枝ごしに月を見てゐましたが、
「ここへ來たまへ。雲が走るか、お月樣が走るか、よくわかるよ。」
と、いひました。
 みんなは、木のそばへ來ました。
「ここに立って、お月樣を、枝の間から見たまへ。」
と、その子どもがいひました。
 そのとほりに、みんながしてみました。すると、月は枝の間にじっとしてゐますが、雲はさっさと走って行きます。
「わかった、わかった。走ってゐるのは雲だ、雲だ。」
と、みんながいひました。



   二十二 軍犬利根(とね)

      

 利根は、小さい時、文子さんのうちで育てられた、勇ましい軍犬です。
 文子さんが、ちゃうど三年生になったばかりのころ、をぢさんのうちから、子犬を一匹もらって來ました。その親が、軍犬として、戰地ではたらいてゐると聞いた文子さんは、もらった子犬も、りっぱな軍犬にしてみたいと思ひました。
 子犬には、利根といふ名をつけました。それは、をぢさんの家のそばを流れてゐる、大きな川の名を取って、おとうさんがおつけになったのです。
 文子さんのうちでは、みんな犬がすきでした。利根の來るずっと前にも、犬をかってゐたことがあるので、文子さんは、ほんたうによく、利根をかはいがりました。朝夕、からだの毛をすいたり、きれでからだをふいてやったりしました。毎日、きまったやうに、運動をさせてやりました。たべものにもよく氣をつけて、間食などは、できるだけさせないやうにしました。おかげで、利根は、子犬のよくかかる病氣にもならないで、すくすくと育ちました。
 利根はかしこい犬でしたから、文子さんに海悗蕕譴襪函◆屬あづけ。」でも、「おすわり。」でも、すぐおぼえました。文子さんは、利根がどこへでもついて來るので、かはいくてたまりませんでしたが、ただ學校へ行く時、何べん追ひかへしても、あとからついて來るのには困りました。
 文子さんは、をぢさんに聞いて、利根に「待て。」を海悗泙靴拭子犬ですから、これは、なかなか聞きませんでしたが、決してしかったり、たたいたりしないで、少しでもできると、頭をなでてほめてやりました。のちには、文子さんが學校へ行く時、とんで來ても、
「すわれ。」「待て。」
といひますと、行儀よくすわって、お見送りをするやうになりました。
 かうして、その年の秋も過ぎ、冬の初めになりますと、利根は、もう子犬ではありませんでした。近所の、どの犬よりも大きく見えました。三年生の文子さんがつれて歩いてゐるのに、向かふから來る人は、大人でも、遠くからよけて通るほど、強さうな犬になりました。
 お正月が來るとまもなく、文子さんがねがってゐたやうに、利根は、軍隊の軍犬班
(はん)へ、はいることになりました。
 出發の前の晩、文子さんは、利根にたくさんのごちそうをしてやりました。自分の育てた犬が、いよいよ軍犬になるのだと思ふと、うれしくてたまりませんが、別れるのは、ほんたうにつらいと思ひました。
 文子さんは、日の丸の小さな旗を作って、利根の首につけ、寒い日の朝、おかあさんといっしょに、停車場まで見送ってやりました。

      

 それからのち、利根のかかりの兵隊さんから、ときどき、利根のやうすを知らせて來ました。文子さんも、手紙を出しました。
 文子さんが、四年生になった秋のころ、兵隊さんから、次のやうな手紙が來ました。
 利根は、たいそうりっぱな軍犬になりました。高いしゃうがいをわけもなくとび
 こえます。腹を地につけて、ふせをしたり、川を泳いで渡ったり、遠くにかくし
 てある手ぶくろを、すばやくさがしあてたりします。もう、軍犬のすることは、
 どの犬にも負けないで、りっぱにやりとげます。あなたから手紙が來ると、それ
 を、利根に見せてやります。利根は、なつかしさうに、にほひをかぎながら目の
 色をかへて喜びます。あなたが、かはいがってゐられたのと同じ氣持で、私も、
 利根を一生けんめいで育ててゐます。どうぞ、安心してください。
       
 それから半年ほどたって、ちゃうど、文子さんが五年生になったころ、利根は、勇ましく北支那へ出征しました。
 りかうな利根は、戰場で、敵のゐるところをさがしあてたり、夜、ふいに近寄らうとする敵の見はりをしたり、隊と隊との間のお使ひをしたり、何をさせてもすばらしいはたらきをしました。
 そのうちに、利根のついてゐる部隊は、何倍といふ敵を相手に、はげしく戰ふ時が來ました。みかたの第一線は、敵前わづか五十メートルといふところまでせまって、ざんがうの中から、敵をこうげきしましたが、敵は多數で、彈は雨あられのやうに飛んで來ます。みかたはそのままで、一週間もがんばりつづけましたが、その間、第一線と本部との間をお使ひするものは、軍犬利根でありました。
 利根は、毎日、五回も六回も、この間を行ったり來たりしました。首わのふくろに、通信を入れてもらって、
「行け。」
といはれるが早いか、どんなにはげしく、彈が飛んで來る中でも、勢よくかけ出しました。のちには、敵が利根の姿を見つけて、彈をあびせかけます。それでも利根は、彈の下をくぐるやうに拔けて、走りつづけました。かかりの兵隊さんはもちろん、みんなの兵隊さんが、利根のかうしたはたらきを見て、涙を流すほどでした。
 いよいよ、わが軍が、敵の陣地にとつげきする日が來ました。
 午前五時、まだ、あたりはうす暗いころ、利根は、最後の通信を首にして、
「行け。」
の命令とともに、走り出しました。敵の彈が、うなりをたてて飛んで來ます。利根は、ひた走りに走りました。
 本部では、利根のかかりの兵隊さんが、今にも、利根が來るだらうと思って、待ってゐました。すると、向かふの、かうりゃんのあぜ道の間に、利根の姿が見えました。
「ようし、來い、利根。」
と、兵隊さんは呼びました。
 利根は、もう百メートルで、本部といふところへさしかかりました。
 ちゃうどその時、敵の彈が、ばらばらと飛んで來ました。利根は、ぱったりとたふれました。
「ようし、來い、利根。ようし、來い、利根。」
と、かかりの兵隊さんは、氣がくるったやうに呼びつづけました。
 この聲が通じたのか、利根は、むっくりと立ちあがりました。しかし、もう走る力がありません。かかりの兵隊さんは、敵の彈が飛んで來るのもかまはず、はふやうにかけ出して、利根のからだを、しっかりとだきかかへました。
  一時間ばかりののち、わが軍は、勇ましく敵にとつげきして、とうとう、その陣地をせんりゃうしました。
 
      
 利根のてがらは、かかりの兵隊さんから、くはしく文子さんに知らせて來ました。さうして、おしまひに、
 利根は、足をやられただけですから、まもなく、よくなることと思ひます。利根
 は、そのうち、きっと甲號功章を、いただくにちがひありません。
と書いてありました。この手紙を見て、文子さんは、
「まあ、利根が。」
といったまま、つっぷして、泣いてしまひました。
「利根はえらい。感心なっやつだ。」
と、おとうさんも涙を流しながら、お喜びになりました。


   二十三 秋

 ちんちろ松虫、
 虫の聲、
 庭の畠で
 鳴きました。

 ぎんぎら葉の露、
 草の露、
 月の光が
 ぬれました。

 とろとろもえる火、
 ゐろりの火、
 栗がはぜます、
 にほひます。


   二十四 つりばりの行くへ 

        一

 ほでりの命
(みこと)は おにいさま、
 ほをりの命は おとうとご。
 
 あに神さまは つりのため、
 おとうと神は かりのため、

 毎日まいにち 海と山、
 おいでになって をりました。

   
ところで、ある日のことです。

ほをりの命「にいさん、お願ひがあります。」
ほでりの命「何だ。」
ほをりの命「にいさんは、毎日海へ出て、魚を取っていらっしゃる。私
     は、毎日山へ行って、鳥や、けものを取ってゐますね。」
ほでりの命「さうだ。」
ほをりの命「そこで、お願ひがあるのですがね。」
ほでりの命「どういふことだ。」
ほをりの命「今日一日だけ、私に海へ行かせてくださいませんか、にい
     さんは、山へいらっしゃって。」
ほでりの命「そんなことは、いやだよ。」
ほをりの命「たった、一日だけでいいのです。」
ほでりの命「いくら一日でも、いやだ。」
ほをりの命「さうおっしゃらないで、今日だけ、私につりをさせてくだ
     さい。」
ほでりの命「そんなに、つりがしたいのか。」
ほをりの命「さうです。私も、一度、あの大きな鯛をつってみたいので
     す。」
ほでりの命「では、つりをしてみるがいいさ。しかたがない、わたしは
     山へ行かう。」
ほをりの命「ほんたうですか。」
 
ほでりの命「ほんたうだ。このつり竿を持って行け。」
ほをりの命「ありがたうございます。にいさんは、この弓と矢を持って、
     山へいらっしゃい。」

 

 


        二
ほをりの命「どうして、つれないのだらう。朝から、一匹もつれない。
     
その時、何かが糸を引く。
     おや、引く、引く。ぐいぐい、引くぞ。しめた、大きな魚
     だ。引きあげてやらう。よいしょ。」
      
ほをりの命が、つり竿をお引きあげになる。糸がぷっつ
      りと切れて、魚が逃げる。
ほをりの命「しまった。大きいのをした。
     
殘念さうに、つり糸をいぢっていらっしゃったが、ふと、
      つりばりのないのに氣がついて、

     つりばりがない。どうしよう、困ったな。ああ、しかたが
     ない。にいさんにあやまらう。にいさんはおおこりになる
     だらうな。」

        三
ほでりの命「山へ行っても、小鳥一羽取れなかった。おもしろくもない。
     さ、弓矢を返すよ。」
ほをりの命「まことにすみません。」
ほでりの命「何かつれたか。」
ほをりの命「ちっとも、つれなかったんです。つれないどころか、申し
     わけのないことをしてしまひました。」
ほでりの命「どうしたのだ。」
ほをりの命「つりばりを、魚に取られてしまひました。」
ほでりの命「取られたって。」
ほをりの命「さうです。」
ほでりの命「──」
ほをりの命「どんなことでもして、おわびいたします。」
ほでりの命「おまへからいひ出しておいて、だいじなつりばりをなくして
     しまふなんて。あんまりだ。」
ほをりの命「ほんたうに、申しわけがありません。どうぞ、お許しくだ
     さい。」
ほでりの命「いや、許すことはできない。」

        四
     
ほをりの命は、海べで泣いていらっしゃる。そこへ、一人
      の年取った神樣がおいでになる。
神樣   「もしもし、あなたは、どうしてそんなに泣いていらっしゃ
     るのですか。」
ほをりの命「にいさんのだいじなつりばりを、魚に取られて、困ってゐる
     ところです。」
神樣   「それは、おきのどくな。私が、いいことを海悗討△欧泙
     う。そこに舟があるでせう。あれに、すぐお乘りなさい。私
     が、その舟を押してあげますから、しばらく、目をつぶって
     いらっしゃい。すると、まもなく、きれいな御殿へお着きに
     なるでせう。」
ほをりの命「きれいな御殿。何の御殿ですか。」
神樣   「海の神樣の御殿です。その御殿の門のそばに、井戸があっ
     て、井戸のそばには、大きな木が立ってゐます。あなたは、
     その大きな木にのぼって、待っていらっしゃい。」
ほをりの命「さうすると。」
神樣   「海の神樣が、きっといいことを海悗討ださるでせう。さ
     あ、舟にお乘りなさい。押してあげますから。」
      
        五
     
海の御殿の門の前に、大きな木が立ってゐる。ほをりの
      命は木を見あげながら、
ほをりの命「ははあ、この木のことだな。のぼってゐよう。
      木にのぼって、下をごらんになる。   
     あ、井戸がある。きれいな水だな。」
       
女が出て來る。井戸の水をくまうとして、
    「まあ、りっぱな神様が、水にうつっていらっしゃる。」
     
木の上を見あげて、女は、うやうやしくおじぎをする。
ほをりの命「水を一ぱいください。」
     「かしこまりました。」
     
女は、井戸から水をくんで、ほをりの命にさしあげる。ほ
           をりの命は、ぐっとお飲みになって、
ほをりの命「ああ、うまい水だ。ごちそうさま。」

        六
      正面に、海の神樣が腰を掛けていらっしゃる。そこへ、
      女が出て來る。
    「海の神樣。」
海の神樣 「何だ。」
    「門の前の木に、りっぱな神樣がいらっしゃいます。」
海の神樣 「りっぱな神樣が。」
    「さやうでございます。」
海の神樣 「それは、きっと日の神のお子樣にちがひない。お迎へしま
     せう。」
      海の神様が、ほをりの命をおつれ申して、出ておいでに
      なる。
海の神樣 「どうぞこちらへ。
      ほをりの命は、腰をお掛けになる。
    
よくおいでくださいました。何か御用でございませうか。」
ほをりの命「じつは、海でつりをしてゐたら、つりばりがなくなってしま
     ひました。」
海の神樣 「つりばりが。」
ほをりの命「さうです。それは、兄のだいじなつりばりで、私も困ってし
     まひました。すると、年取った神樣が、私に、海の御殿へ行
     くやうに海悗討れました。それで、今ここへやって來たの
     です。」
海の神樣 「それは、ほんたうにお困りでございませう。さっそく、さ
     がさせてみませう。
      女に向かって、
    
魚たちを、みんなここへ呼び集めるやうに。」
    「はい。
        女は、魚たちをたくさん呼んで來る。
     呼んでまゐりました。」
海の神樣 「これでみんなか。」
    「はい。鯛だけは病氣でねてゐますので、ここへまゐってゐ
     ません。」
海の神樣 「さうか。みんなのものにたづねるが、だれか、日の神のお
     子樣のつりばりを、取って行ったものはないか。」
魚たち  「ぞんじません。」
海の神樣 「いや、たしかにあるはずだ。だれか、知ってゐるものはゐ
     ないか。」
魚たち  「少しもぞんじません。」
海の神樣 「をかしいな。
       海の神樣は、しばらくお考へになって、女に、
    
では、鯛をちょっとここへ呼んで來てくれないか。」
    「はい。」
      
女は、鯛をつれて出て來る。
    「何か御用でございませうか。」
海の神樣 「おまへは、日の神のお子樣のつりばりを知ってゐないか。」
    「じつは、この間、つりばりをのどにかけまして、たいへん
     苦しんでゐるところでございます。」
海の神樣 「あ、それだ。
      
女に向かって、
     鯛
ののどから、そのつりばりを取ってやれ。」
    「はい。」
      
つりばりをとる。 
    「あ、これで、すっかりらくになりました。」
      
女は、つりばりを水で洗って、海の神樣にさしあげる。
海の神樣 「なるほどつりばりだ。」
      
海の神樣は、ほをりの命の前にひざまづいて、
海の神樣 「このつりばりでございますか。」
ほをりの命「あ、これだ。たしかにこれです。」      
      
ほをりの命は、思はずにっこりなさる。
海の神樣 「見つかって、ほんたうによろしうございました。
 
  だいじな、だいじな つりばりが、
  出て來て神さま およろこび。

  いたい、いたいと 泣いてゐた、
  鯛もよろこび おめでたい。

  めでた、めでたと さかなたち、
  みんなまふやら 歌ふやら。


 
 


  
屋 鷄 鳴 杉 殿 御 居 菓 糖 愛 曲 綿
 泳 初 短 息 茂 殘 酒 恐 飲 劒 拔 血
 刃 桑 横 香 途 死 感 皿 底 竿 板 許
 唱 停 鐵 側 煙 干 寄 者 皮 莖 姿 植
 穗 隊 面 状 頼 電 掛 留 桐 幹 井 暑
 樂 帽 記 勝^福¢鵝〜燹ゞΑゞ函―機ヾ澄’
 室 競 發 艦 組 選 號 令 決 勝 最 位
 仰 相 問 承 案 峯 飛 運 食 儀 敵 部
 倍 第 彈 回 信 涙 陣 暗 命 甲 功 章
 露 願 鯛

 


 

 


 
     (注) 1. 『初等科國語 一』の教科書は、昭和17年2月16日発行、昭和17年3月7日翻刻発行。
        著作兼発行者 文部省。翻刻発行兼印刷者 日本書籍株式会社。
          これは、『複刻 国定教科書(国民学校期)』(ほるぷ出版刊、昭和57年2月1日)により
        ました。原本所蔵は、信濃教育博物館です。

        2.  
教科書巻末の漢字表の漢字には、「屋(4) 鷄(5) ……」のように、漢字の下に頁数が
        表記されていますが、ここでは省略しました。
       3. 『初等科國語 一』の教科書は、国民学校3年生前期用の教科書です。
       4. 資料105に
『ヨミカタ 一』の本文(全文) があります。
          資料106に
『ヨミカタ 二』の本文(全文) があります。
          資料144に
『よみかた 三』の本文(全文) があります。
          資料146に
『よみかた 四』の本文(全文) があります。
          資料156に
『初等科國語 二』の本文(全文) があります。
                   資料179に
『初等科國語 三』の本文(全文) があります。
                   資料186に 
『初等科國語 四』の本文(全文) があります。
             資料189に
『初等科國語 五』の本文(全文) があります。
                   資料196に
『初等科國語 六』の本文(全文) があります。
          資料199に
『初等科國語 七』の本文(全文) があります。
          資料210に
『初等科國語 八』の本文(全文) があります。
       5. 英霊にこたえる会の
『英霊』というホームページの中に『軍犬軍馬のページ』があり、
         その中で、映像で
「二十二  軍犬利根」の教科書の本文を見ることができます。挿絵
         も入っています。 唱歌の「軍犬利根」(『初等科音楽(一)』所収)の歌詞も出ており、
         そのメロディーがBGMで入っています。
            
お断り: 残念ながら現在は見られないようです。(2017.11.03)
       6. 資料436に「国指定重要文化財「近代教科書関係資料」」があります。近代の教科
         書が国指定の重要文化財に指定されています。
            

 

       
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