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(注) |
1. |
上に示した『中等國語一〔後〕』の教科書は、昭和21年4月に戦後初めて旧制中学校に入学した生徒たちが使用した教科書の一部です。 |
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2. |
この年は、まだ新制中学校が発足していませんでした。翌昭和22年4月に新制中学校が発足して、昭和16年にできた国民学校に入学した生徒たちが新制中学の1年生になりましたので、昭和21年に中学に入った彼らは最後の旧制中学生だということになります。
この年の教科書は、新聞紙のように印刷された用紙を、生徒各自が切りそろえて、自分で綴じて使った教科書です。(この時期の教科書について、『北海道教育大学附属図書館』のホームページにある「第Ⅱ期北海道教育資料収集整備計画書」に、「墨塗り教科書に続き昭和21年度に使用された文部省著作の暫定教科書は、タブロイド版の極めて粗悪な新聞用紙に印刷され、大部分が製本されていない折りたたみ式で、殆どの教科が数冊の分冊で発行され、「折りたたみ教科書」とか「分冊仮綴じ教科書」と称されている」とあります。) |
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3. |
この昭和21年8月6日発行・同日翻刻発行の『中等國語一〔後〕』の教科書には、薄い表紙(いわゆる扉に当たるもの)の裏側に「奥付」が付いていて、そこに「APPROVED BY MINISTRY OF EDUCATION (DATE Aug. 2, 1946)」と、線で囲んで3行に書いた文字があって、時代を示しています。 |
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4. |
上記の教科書本文中に、平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号が用いられていますが、ここではそれらをすべて同じ文字を繰り返して表記してあります。(「こそこそ」「らくらく」「のびのび」「じりじり」「いろいろ」「つるつる」「つかつか」「われわれ」「たびたび」「一つ一つ」「それぞれ」など。) |
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5. |
表紙裏側の奥付から、発行日その他を引いておきます。(一部の数字を算用数字に改めてあります。)
『中等國語一』
昭和21年8月2日印刷 同日飜刻印刷 昭和21年8月6日發行 同日飜刻發行
[昭和21年8月6日 文部省檢査濟] 【後】定價七拾五錢
著作權所有 著作兼發行者 文部省
飜刻發行者 東京都神田區岩本街三番地 敎科書株式會社 代表者 加野庄吾
印刷所 東京都神田區神保町三丁目二十九番地 明和印刷株式會社 代表者 長苗三郎
發行所 中等學校敎科書株式會社
敎科書番號 11ノ一 |
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6. |
この年度の1年用の国語教科書には、この他に『中等國語一』(昭和21年3月17日発行)と『中等國語一[中]』(昭和21年6月28日発行)があります。昭和21年3月17日発行の『中等國語一』は、『中等國語一[前]』とあるべきものと思われます。 |
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7. |
ここに引いた『中等國語一[後]』の教科書(昭和21年度に旧制中学に入学した生徒が使った国語教科書)は、翌昭和22年には、この年に発足した新制中学用にきちんと した表紙のついた、別の内容のものが発行されたので、わずか1年でその役目を終えたものと思われます。その意味でも、今となっては貴重な資料といえるのではないでしょうか。(新制中学用の国語教科書の総目録(目次)は、資料219にあります。)
なお、この『中等國語一[後]』を使用した生徒たちが使った『中等國語一』([前])と『中等國語一[中]』の目録(目次)を、次にあげておきます。(教材に錯簡・脱落のある恐れもあります。お気づ きの点がありましたら、ぜひお知らせ下さい。)
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『中等國語一』([前])(昭和21年3月17日発行 同日翻刻発行)
國文篇
一 富士の高嶺 二 親心 三 菖蒲の節供 四 柿の花 五 涼み臺 六 秋から春へ
○
『中等國語一[中]』(昭和21年6月28日発行 同日翻刻発行)
文法篇 [口語]
一 國語 二 音聲と文字 三 文と文節 四 文節と單語 五 自立語で活用の有るもの 六 自立語で活用の無いもの(一) 七 自立語で活用の無いもの(二) 八 附属語で活用の有るもの 九 附属語で活用の無いもの 十 品詞分類 十一 口語動詞の活用(一) 十二 口語動詞の活用(二) 十三 口語動詞の活用(三) 十四 口語形容詞の活用 十五 口語形容動詞の活用 附表
漢文篇
一 律詩二首 二 眞爲善者 三 眞爲學問者 四 鏡 五 七言絶句二題 六 德與財 七 常與變 八 薊與馬之事 九 外盛則内衰 十 五言絶句二題 十一 述懷 十二 膏梁子弟 十三 地動與潮雞
一 律詩二首(藤田幽谷「暮春 柳堤晩歸」「丙午早春 過柳堤」) 二 眞爲善者(尾藤二洲『冬讀書餘』巻之二) 三 眞爲學問者(西山拙齋『閒牕瑣言』) 四 鏡(『十八史略』巻五 唐太宗文武皇帝) 五 七言絶句二題(頼杏坪「江都客裡雜詩」、高千里「山亭夏日」) 六 德與財(中村蘭林『閒窓雜録』巻之二) 七 常與變(五井蘭洲) 八 薊與馬之事 九 外盛則内衰 十 五言絶句二題 十一 述懷 十二 膏梁子弟(安積艮齋『南柯餘論』巻之下) 十三 地動與潮雞(安積艮齋『南柯餘論』巻之上) |
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8. |
『中等國語
一』([前])掲載の「涼み臺」の本文が、資料216にあります。
『中等國語 一[中]』の漢文篇の「律詩二首」が、資料214の注の欄にあります。
『中等國語 一[後]』の「湖畔の冬」の本文が、資料220にもあります。
『中等國語一[後]』掲載の「尊德先生の幼時」の本文が、資料214にもあります。
『中等國語二(2)』掲載の「クラーク先生」の本文が、資料212にあります。
『中等國語二(2)』掲載の「意味の変遷」の本文が、資料215にあります。
『中等國語三(2)』掲載の「芭蕉の名句」の本文が、資料213にあります。 |
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