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(注) |
1. |
上に示した『中等國語』の教科書目録は、文部省が昭和22年4月に発足した新制中学校のために発行した国語教科書の総目録です。
この総目録作成にあたっては、『広島大学図書館』のホームページの「広島大学図書館 教科書コレクション」を利用させていただきました。ここでは、各教科書の表紙・目録(目次)・本文の最初のページ・奥付が、画像で見られます。
その後、教科書本文を筑波大学附属図書館で見せていただき、筆者名や出典などを補いました。 |
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2. |
昭和21年度の教科書は、新聞紙のように印刷された用紙を配られて、児童・生徒が各自それを切りそろえ、自分で綴じて使った教科書でしたが、昭和22年度からは、表紙が付いて、きちんと製本された教科書が配布されました。
このころの教科書には、奥付に「APPROVED BY MINISTRY OF EDUCATION (DATE Mar. 13, 1946)」などと書かれたローマ字が付いていました。 |
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3. |
『中等國語
一(1)』の奥付から、発行日その他を引いておきます。
昭和22年2月10日發行 同日飜刻發行。
[昭和22年2月10日 文部省檢査濟] 著作權所有
著作兼發行者 文部省。 飜刻發行者 中等學校敎科書株式會社。
印刷者 大日本印刷株式會社。
発行所 中等學校敎科書株式會社。 「APPROVED BY MINISTRY OF EDUCATION (DATE Feb.6, 1947)」
印刷者は、大日本印刷株式會社の他に、二葉印刷株式會社、文化印刷株式會社などが担当しています。 |
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『中等國語
一(3)』の「春を呼ぶ」は、鴫原一穂の「呼びかけ」の作品で、この作品については、『教育実践大百科事典』(家本芳郎 教育実践記録・論文全集─全国教育文化研究所)というサイトの「資料 戦後の教科書に掲載された「よびかけ」」というページがあって、参考になります。(「春を呼ぶ」の本文が見られます。)
このサイトは有料になったようで、残念ながら現在普通に見ることはできないようです。2012年6月28日) |
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5. |
『中等國語
二(1)』の「カパチェッポ」とは、アイヌ語で「ヒメマス(姫鱒)」のことで、明治時代に、十和田湖開発に命をかけヒメマスの増殖に尽力した和井内貞行の物語です。
和井内貞行(わいない・さだゆき)=十和田湖養魚の開発者。陸奥毛馬内(秋田県鹿角市)生れ。魚は棲息しないと信じられていた十和田湖にカパチェッポ(姫鱒)の養殖を志し、これに生涯をささげて成功。(1858-1922)(『広辞苑』第6版による。) |
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6. |
『中等國語
一(1)』掲載の「涼み台」の本文が、資料216にあります。
(ただし、資料216の「涼み台」の本文は、昭和21年3月17日に発行された、旧制中学用の『中等國語一』によっています。旧制中学用の『中等國語一』にある「藤の實」が新制中学用の『中等國語 一(1)』には省略されています。)
『中等國語 二(2)』掲載の「クラーク先生」の本文が、資料212にあります。
『中等國語 二(2)』掲載の「意味の変遷」の本文が、資料215にあります。
『中等國語 三(2)』掲載の「芭蕉の名句」の本文が、資料213にあります。 |
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『中等國語
一(1)』掲載の「初夏の奈良」(荻原井泉水)の出典が『観音巡礼』(春陽堂、昭和4年発行)であることは、奈良県立図書情報館の方に調べていただきました。ここに記して御礼申し上げます。
この「初夏の奈良」という文章は、『中学の国語 総合3上』(武田祐吉・斎藤清衛監修、愛育社・1954(昭和29)年発行)という教科書に再録されていて、そこに出典として『観音巡礼』という書名が出ているそうです。
〔補記〕 この「初夏の奈良」という文章が、垣内松三編の高等女学校用国語教科書『国文鑒』(国文鑑)の巻一(第1学年用)に、「新緑」という題で収録されており、その教授参考書が、『国立国会図書館デジタルコレクション』に収められていることが分かりました。
『国立国会図書館デジタルコレクション』
→ 『国文鑒』巻一(1学年用)教授参考書・第2版、(八 新緑) 50~57/296
(文学社・昭和8年12月15日発行) (2012年12月3日付記)
* * * * * 『中等國語 一(1)』の教科書に掲載されている「初夏の奈良」の書き出しの部分を、引用しておきます。(平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号は、普通の仮名に直しました。「生き生き」「ふさふさ」)
奈良はいつ來てもよいが、ことに新緑のころがよい。さくらのころに來た時には、まだ黄色に枯れたまゝであったしばは、生き生きと靑くなって、しかがその上に寢ころんだり、また、その靑い芽をたべたりしていた。
猿沢の池のやなぎは、もえぎ色をしたその若々しい美しさが、やゝ老いて、こんもりと葉を茂らしつゝ水に映っていた。春によく來る團体の客のざわめきも今はなくて、池のふちにあるベンチには、木陰を求めて子供を遊ばせている女がいるばかりだった。
荒池のほとりは、なお靜かだった。奈良ホテルに沿って、葉ざくらのほの暗いほどの小道を歩くのもよかった。池には遠くの興福寺の塔の影が映っていた。その水に石を投げて水の輪が拡がって、それが消えて行くのを待っては、他の子供が石を投げるのであった。
うめの木が林をなしている所では、園丁がその枝をおろしていた。しばの上に落ちた靑葉には、しかが寄って來て香をかいでいた。(以下略)
なお、末尾の部分も、少し引用させていただきます。
嫩草山と春日山との間にある谷の道は、若葉の緑が顔にうつるような、ほがらかな感じの所だった。つま先あがりに、苦しくないほどの登りになって、山の奥に踏みこんで行く。ほらあなのかえでという名のついている通りに、かえでがトンネルのようになっており、高い木には、ふじがあちらにもこちらにも咲き垂れていた。奈良はふじの花の多い所だが、公園の茶屋のそれなどは、おゝかたすがれてしまっているのに、こゝだけは、まだふさふさとした紫を垂れて美しかった。奈良の若葉はいいなと、私はいまさらのように思った。
私は緑の深い中を縫いながら、あてもなく歩いた。 |
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上記の目録に関して、お気づきの点があれば、ぜひお知らせ下さい。 |
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9. |
文部省発行の新制中学用国語教科書は、下記の図書館で見ることができると思います。ご利用なさる前に、直接問い合わせてご確認ください。
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国立教育政策研究所 教育研究情報センター 教育図書館
(東京都千代田区霞が関3-2-2 中央合同庁舎第7号館東館6 Tel.03-6733-6536)
〇
教科書研究センター(東京都江東区千石1-9-28)
〇「附属教科書図書館」(Tel. 03-5606-4314)
〇
東書文庫(東京都北区栄町48-23 Tel. 03-3927-3680)
正式名称は「東京書籍株式会社附設 教科書図書館 東書文庫」です。
〇
筑波大学附属図書館(茨城県つくば市天王台1-1-1
お問い合わせは、なるべく電子メールでとのことです。
Tel. 029-853-6391)
〇 扶桑書店 「教科書資料館」(愛知県丹羽郡扶桑町高雄字天童111 Tel. 0587-93-1018)
〇
広島大学図書館(東広島市鏡山1-2-2
Tel. 082-424-6214) 〇「広島大学図書館 教科書コレクション」があります。
〇
福岡教育大学図書館(福岡県宗像市赤間文教町1-5
Tel. 0940-35-1258)
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10. |
国立国会図書館のサイトに『リサーチ・ナビ』があり、そこに「教科書」
「教科書の掲載作品を調べる」があって参考になります。 |
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11. |
『Do-Links(北海道立図書館情報検索リンク集)』に「教科書」があって参考になります。 |
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12. |
公益財団法人教科書研究センター附属教科書図書館「教科書目録情報データベース」というページがあります。 |
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