資料219 文部省発行の新制中学用教科書『中等国語』の総目録



 

   文部省発行の新制中学用教科書『中等国語』の総目録               

 

『中等國語 一』(1)
『中等國語 一』(2)
『中等國語 一』(3)

『中等國語 二』(1) 
『中等國語 二』(2)
『中等國語 二』(3)

『中等國語 三』(1)
『中等國語 三』(2)
『中等國語 三』(3)

『中等國語 三』(4)

(付)
『中等文法  口語』
『中等文法  文語』

 

 

 

 

        

中等國語 一』(1)  
昭和22年2月10日発行 同日翻刻発行

  目 録
  一 第一歩    (「よびかけ」)
        
この「よびかけ」の演出は、みんなでくふうしよう。
      「新しい道、」
      「明かるい光にみちた道、」
      「希望にみちた、たのしい出発。」
      「たのしい出発。」
      「私たちは、その第一歩をふみ出そうとしている。」
      「ふみ出そう。」
       (以下、略)

  二 世界をつなぐもの  
少年赤十字 國際語 ノーベル賞 
  三 雨にもまけず    宮沢賢治
  四 おはよう 
     生きたことば   西尾 実
     おはよう      山村暮鳥
  五 昆虫記      ファーブル原作、山田吉彦訳
      
日が暮れかゝると、井戸掘りさいちゅうの「じがばち」は、石の
     ふたで戸締まりをして工事場から出て行く。そして花から花を追い
     ながら、どこかへ行ってしまう。(以下、略)

  六 潮 目        宇田道隆
  七 日記から
  八 初夏の奈良         荻原井泉水(『観音巡礼』)
  九 りすを育てる    中西悟堂
  十 末ひろがり     (狂言)
 十一 涼み台     
     新星 線香花火  寺田寅彦


中等國語 一』(2) 昭和22年9月8日発行 同日翻刻発行
              昭和23年6月2日修正発行 同日修正翻刻発行

  目 録
  一 あゆのかげ        室生犀星(『室生犀星全集』)
  二 ノートの中から 
     おもちゃは野にも畑にも 書籍 落ち葉  島崎藤村(『藤村全集』)
  三 心の小径       金田一京助(『北の人』)
  四 創始者の苦心     (『蘭学事始』)
  五 雪もちの竹     山本有三(『銀河』第2巻第1号)
  六 実物とその模型    丘浅次郎(『猿の群から共和國まで』)
  七 小品二題
      かくれんぼう  志賀直哉(『志賀直哉全集』)
      みかん     芥川龍之介(『芥川龍之介全集』)
  八 非凡なる凡人    國木田独歩(『國木田独歩全集』)
  九 ピノチオ      松葉重庸 作(人形芝居の脚本)
  附録 國語学習の手引


中等國語 一』(3) 昭和23年1月9日発行 同日翻刻発行
                 昭和23年7月13日修正発行 同日修正翻刻発行

  目 録
  一 散文詩  
一 すゞめ 二 こじき  
            ツルゲニエフ作、中山省三郎訳『全訳散文詩』
  二 ふるさとの英世    宮津 博作(『脚本シリーズ第三』)
  三 ラジオ        南江治郎
  四 リヴィングストンとスタンリー  豊島與志雄(『世界探檢物語』)
     
一 暗黑大陸の父  二 感激の対面  三 惠まれた湖水
     四 別離と任務   五 偉人に忠僕  六 ナイル川の水源

  五 春を呼ぶ    「よびかけ」鴫原一穗の作
  附録 國語学習の手引 


中等國語 二』(1) 昭和22年3月7日発行 同日翻刻発行      
                  昭和23年2月7日修正発行 同日修正翻刻発行

 目 録
  一 早 春        木下夕爾
  二 やさしいことばで  
  三 短歌と俳句
      歌ごころ     若山牧水(『短歌作法』)
      俳句への道    富安風生(『俳句の作り方』)
  四 文章について     谷崎潤一郎(『文章読本』)
  五 わがはいはねこである 夏目漱石(『漱石全集』)
  六 一門の花 平家物語より
       故郷の花  靑山の琵琶
  七 舞へ舞へかたつむり 梁塵秘抄より
       
舞へ舞へかたつむり まつの木かげに 池の涼しきみぎはには
       遊びをせむとや生まれけむ
       日光      北原白秋(『白秋全集』)
       ひがらとつばき 北原白秋(『白秋全集』)

  八 カパチェッポ  
シナリオ 麻上俊夫(『日本映画』第7巻第3号)


中等國語 二』(2) 昭和22年9月8日発行 同日翻刻発行      
                 昭和23年6月2日修正発行 同日修正翻刻発行
 目 録
  一 クラーク先生           大島正健
  二 國際婦人会議に出席して  石垣綾子 
  三 学級日記
  四 少年の日の思い出     ヘルマン=ヘッセ原作、高橋健二訳
  五 万葉秀歌  斎藤茂吉
     春過ぎて夏來たるらし……   持統天皇
     天ざかる夷の長路ゆ……    柿本人麻呂
     若の浦に……         山部赤人
     わが背子は……        當麻眞人麻呂の妻
     憶良らは今は……       山上憶良
  六 意味の変遷  藤岡勝二
  七 砂 丘    下村健二作(映画のシナリオ)
  附録 國語学習の手引


中等國語 二』(3) 昭和22年12月27日発行 同日翻刻発行      
                 昭和23年7月17日修正発行 同日修正翻刻発行
 目 録
  一 自分は太陽の子である   福士幸次郎(『太陽の子』)
  二 音と文字      宮城道雄(『雨の念佛』)
              内田百間(『凸凹道』)
  三 希 望
  四 鬼にこぶ取らるること  宇治拾遺物語
  五 夜中の音樂     百田宗治(『兒童』第1巻第4号)
  六 地藏の話      長與善郎(『菜種圃』)
  七 ひさかたの  古今和歌集
      春日野のとぶ火の……    よみ人知らず
      人はいさ心も知らず……   紀 貫之
      ひさかたの光のどけき……  紀 友則
      わが宿の池のふぢなみ……  よみ人知らず
      はちす葉のにごりに……   僧正遍昭
      風吹けば落つるもみぢ葉…… 凡河内躬恆
      山里は冬ぞさびしさ……   源 宗于
      みよしのの山の白雪……   壬生忠岑
      忘れては夢かとぞ思ふ……  在原業平
  八 木の根       和辻哲郎(『偶像再興』)
  九 ひとりの力     京谷大助(『アメリカに学ぶ』)
  附録 國語学習の手引


中等國語 二』(4) 昭和22年7月4日発行 同日翻刻発行      
               昭和23年3月8日修正発行 同日修正翻刻発行
 目 録
  一 南船北馬
  二 詩 五首   
     春曉  孟浩然  
     黄鶴楼に孟浩然が廣陵にゆくを送る  李白
     辺詞(五原の春色……)  張敬忠
     絶句(兩箇の黄鸝……)  杜甫
     山亭の夏日        高駢        
  三 李白と杜甫
  四 小話四題    坂井德三郎編訳(『支那イソップ物語』)
  五 神話と傳説   松村武雄(『支那神話傳説集』)
  六 詩 五首
     山行    杜牧
     秋思    張籍
     靜夜の思  李白
     董大に別る 高適
     汪倫に贈る 李白
  七 桃花源の記    小田嶽夫・武田泰淳(『揚子江風土記』)
  八 たゆまざる努力 
       Carl Crow:“My Friends, the Chinese” 関 浩輔 訳
  九 秋風五丈原   池田大伍(『支那童話集』)
  十 孔子と子路   中島 敦(『弟子』)
 十一 孔子とそのことば
    (那珂通世『東洋小史』による文章のあとに、論語の言葉が15掲げて
     あります。)


中等國語 三』(1) 昭和22年3月18日発行 同日翻刻発行     
                 昭和23年2月7日修正発行 同日修正翻刻発行

 目 録
  一 天の香具山   新古今和歌集より11首
      
ほのぼのと春こそ空に來にけらし……
      なごの海のかすみのまよりながむれば……
      夕月夜しほ満ち來らし難波江の……
      庭のおもはまだかわかぬに……
      むかし思ふ草のいほりのよるの雨に……
      心なき身にもあはれは知られけり……
      きりぎりす夜さむに秋のなるまゝに……
      にほのうみや月のひかりのうつろへば……
      吉野川岸のやまぶき咲きにけり……
      旅人のそで吹きかへす秋風に……
      こまとめてそでうちはらふかげもなし……

  二 新聞の話   鈴木文史郎
  三 キューリー夫人
     エーヴ=キューリー原作、川口篤・河盛好蔵・杉捷夫・本田喜代治
     の共訳(『キュリー夫人傳』)
  四 花より雨に   永井荷風(『荷風全集』)
  五 山のあなた   上田敏訳(『海潮音』より)
     春の朝(ブラウニング)  落葉(ヴェルレーヌ)
     山のあなた(ブッセ)
  六 小人國     スウィフト原作、野上豊一郎訳(『ガリバーの航海』)
  七 身振り語と言語   金田一京助(『科学の友』第2巻第4号)
  八 制作の方法     小泉八雲原作、田部隆次訳(『人生と文学』)
  九 長 歌   
     水江浦島子を詠める一首並びに短歌      万葉集
     月の兎
(をさぎ)  良寛
     鉢の子      良寛
  十 羽 衣   (謠曲)
  附録 國語学習の手引


中等國語 三』(2) 昭和22年9月8日発行 同日翻刻発行      
                 昭和23年6月25日修正発行 同日修正翻刻発行


 目 録
  一 樹木賛仰       尾崎喜八の詩(『高層雲の下』)
  二 生活断片  
生け花 お茶 (中学校生徒の作) 
  三 文化と敎養   天野貞祐(『婦人之友』第41巻第2号)
  四 芭蕉の名句   潁原退蔵(『芭蕉の名句』)
     山路來て 閑かさや 白露を 旅に病んで
  五 乙女峠の富士  佐藤信衛(『新潮』第43巻第6号)
  六 銀の燭台
     ヴィクトル=ユーゴー原作、水野葉舟訳(『フランス小学読本』)
  附録 國語学習の手引


中等國語 三』(3) 昭和22年12月12日発行 同日翻刻発行      
                 昭和23年7月13日修正発行 同日修正翻刻発行


 目 録
  一 雪の朝          草野心平(『絶景』)
  二 自然の美と美術の美  岸田劉生(『美の本体』) 
  三 噴火山        アンデルセン原作、森鷗外訳(『即興詩人』)
  四 読書について     谷川徹三(『読書について』)
  五 随筆二題   
      枕草子より  春はあけぼの 木の花は
      徒然草より  ある人弓射ることを習ふに 
  六 社会を自己の中に   大島正徳(『思索の人生』)
  七 師弟一如       矢内原忠雄(『余の尊敬する人物』) 
  八 学校日記
  附録 國語学習の手引


中等國語 三』(4) 昭和22年7月4日発行 同日翻刻発行      
                 昭和23年3月5日修正発行 同日修正翻刻発行

 目 録
  一 詩 五首 (書き下し文)
     農を憫む  李紳  
     遊子吟   孟郊 
     雜詠(客故郷より來たる……) 王維
     京師にて家書を得  袁凱
     胡隱君を尋ぬ    高啓
  二 和漢朗詠   13首  
  三 白樂天の詩
  四 螢雪の功    釈了意『新語園』、室直清『駿台雜話』
  五 漢字の話
  六 墨子の説  兼愛   野村丘陽(『現代語訳墨子』)
  七 莊子と列子
      一 鵬の話  荘子
      二 忘れる男  林語堂原作、吉村正一郎訳(『支那のユーモア』)
  八 日本における漢文漢学
  九 詩 五首
     楓橋の夜泊  張継
     磧中の作   岑参
     春夜     蘇軾
     海にうかぶ  王守仁
     春望     杜甫
  十 古都三景 
北京 長安 南京
 十一 雙十節の由來
 十二 孟子とその主張
                     

           
『中等文法 口語』  昭和22年4月4日発行 同日翻刻発行      
           昭和22年1月17日修正発行 同日修正翻刻発行

   一 國語 
   二 音声と文字
   三 文と文節
   四 文節と單語
   五 自立語で活用の有るもの
   六 自立語で活用の無いもの(一)
   七 自立語で活用の無いもの(二) 
   八 附属語で活用の有るもの
   九 附属語で活用の無いもの 
   十 品詞分類
  十一  動詞の活用(一) 
  十二  動詞の活用(二) 
  十三  動詞の活用(三)   
  十四 形容詞の活用 
  十五 形容動詞の活用
  十六 助動詞の接続と活用(一)
  十七 助動詞の接続と活用(ニ)
  十八 助動詞の接続と活用(三)
  十九 助詞の種類と用法   
  附表


『中等文法 文語』  昭和22年4月8日発行 同日翻刻発行      
            昭和22年11月17日修正発行 同日修正翻刻発行


   一 文語とその文法
   二 自立語で活用の有るもの 
   三 自立語で活用の無いもの
   四 附属語で活用の有るもの
   五 附属語で活用の無いもの
   六 動詞の活用(一)
   七  動詞の活用(二)
   八 形容詞の活用
   九 形容動詞の活用
   十 助動詞の接続と活用(一)
  十一 助動詞の接続と活用(ニ)
  十二 助動詞の接続と活用(三)
  十三 助動詞の接続と活用(四) 
  十四 助詞の種類と用法 
  十五 文節の構造
  十六 文節と文節との関係
  十七 文の構造 
  十八 文の種類
  附表 

 

 

 

 

 

 

 

 
  (注) 1.  上に示した『中等國語』の教科書目録は、文部省が昭和22年4月に発足した新制中学校のために発行した国語教科書の総目録です。
 この総目録作成にあたっては、
『広島大学図書館』のホームページの「広島大学図書館 教科書コレクション」を利用させていただきました。ここでは、各教科書の表紙・目録(目次)・本文の最初のページ・奥付が、画像で見られます。
 その後、教科書本文を筑波大学附属図書館で見せていただき、筆者名や出典などを補いました。
 
    2.  昭和21年度の教科書は、新聞紙のように印刷された用紙を配られて、児童・生徒が各自それを切りそろえ、自分で綴じて使った教科書でしたが、昭和22年度からは、表紙が付いて、きちんと製本された教科書が配布されました。 
 このころの教科書には、奥付に「
APPROVED BY MINISTRY OF  EDUCATION  (DATE Mar. 13, 1946)」などと書かれたローマ字が付いていました。 
 
    3.  『中等國語 一(1)』の奥付から、発行日その他を引いておきます。
  
昭和22年2月10日發行 同日飜刻發行。
   [昭和22年2月10日 文部省檢査濟] 
著作權所有
  著作兼發行者 文部省。 
  飜刻發行者 中等學校敎科書株式會社。
  印刷者 大日本印刷株式會社。

  発行所 中等學校敎科書株式會社。
 
APPROVED BY MINISTRY OF  EDUCATION  (DATE  Feb.6, 1947)

 
印刷者は、大日本印刷株式會社の他に、二葉印刷株式會社、文化印刷株式會社などが担当しています。
 
    4.  『中等國語 一(3)』の「春を呼ぶ」は、鴫原一穂の「呼びかけ」の作品で、この作品については、『教育実践大百科事典』(家本芳郎 教育実践記録・論文全集─全国教育文化研究所)というサイトの「資料 戦後の教科書に掲載された「よびかけ」」というページがあって、参考になります。(「春を呼ぶ」の本文が見られます。)
 
このサイトは有料になったようで、残念ながら現在普通に見ることはできないようです。2012年6月28日)
 
    5.  『中等國語 二(1)』の「カパチェッポ」とは、アイヌ語で「ヒメマス(姫鱒)」のことで、明治時代に、十和田湖開発に命をかけヒメマスの増殖に尽力した和井内貞行の物語です。
 和井内貞行(わいない・さだゆき)=十和田湖養魚の開発者。陸奥毛馬内(秋田県鹿角市)生れ。魚は棲息しないと信じられていた十和田湖にカパチェッポ(姫鱒)の養殖を志し、これに生涯をささげて成功。(1858-1922)
(『広辞苑』第6版による。)
 
    6.  『中等國語 一(1)』掲載の「涼み台」の本文が、資料216にあります。 
 
(ただし、資料216の「涼み台」の本文は、昭和21年3月17日に発行された、旧制中学用の『中等國語一』によっています。旧制中学用の『中等國語一』にある「藤の實」が新制中学用の『中等國語 一(1)』には省略されています。)
 『中等國語 二(2)』掲載の「クラーク先生」の本文が、資料212にあります。
 『中等國語 二(2)』掲載の「意味の変遷」の本文が、資料215にあります。
 『中等國語 三(2)』掲載の「芭蕉の名句」の本文が、資料213にあります。
 
    7.  『中等國語 一(1)』掲載の「初夏の奈良」(荻原井泉水)の出典が『観音巡礼』(春陽堂、昭和4年発行)であることは、奈良県立図書情報館の方に調べていただきました。ここに記して御礼申し上げます。          
 この「初夏の奈良」という文章は
、『中学の国語 総合3上』(武田祐吉・斎藤清衛監修、愛育社・1954(昭和29)年発行)という教科書に再録されていて、そこに出典として『観音巡礼』という書名が出ているそうです。
 〔補記〕 この「初夏の奈良」という文章が、垣内松三編の高等女学校用国語教科書『国文鑒』(国文鑑)の巻一(第1学年用)に、「新緑」という題で収録されており、その教授参考書が、『国立国会図書館デジタルコレクション』に収められていることが分かりました。
 
『国立国会図書館デジタルコレクション』 
 → 
『国文鑒』巻一(1学年用)教授参考書・第2版、(八 新緑) 50~57/296
           
(文学社・昭和8年12月15日発行)  (2012年12月3日付記)
       * * * * *
 『中等國語 一(1)』の教科書に掲載されている「初夏の奈良」の書き出しの部分を、引用しておきます。
(平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号は、普通の仮名に直しました。「生き生き」「ふさふさ」)

 奈良はいつ來てもよいが、ことに新緑のころがよい。さくらのころに來た時には、まだ黄色に枯れたまゝであったしばは、生き生きと靑くなって、しかがその上に寢ころんだり、また、その靑い芽をたべたりしていた。
 猿沢の池のやなぎは、もえぎ色をしたその若々しい美しさが、やゝ老いて、こんもりと葉を茂らしつゝ水に映っていた。春によく來る團体の客のざわめきも今はなくて、池のふちにあるベンチには、木陰を求めて子供を遊ばせている女がいるばかりだった。
 荒池のほとりは、なお靜かだった。奈良ホテルに沿って、葉ざくらのほの暗いほどの小道を歩くのもよかった。池には遠くの興福寺の塔の影が映っていた。その水に石を投げて水の輪が拡がって、それが消えて行くのを待っては、他の子供が石を投げるのであった。 
 うめの木が林をなしている所では、園丁がその枝をおろしていた。しばの上に落ちた靑葉には、しかが寄って來て香をかいでいた。(以下略)


 なお、末尾の部分も、少し引用させていただきます。

 嫩草山と春日山との間にある谷の道は、若葉の緑が顔にうつるような、ほがらかな感じの所だった。つま先あがりに、苦しくないほどの登りになって、山の奥に踏みこんで行く。ほらあなのかえでという名のついている通りに、かえでがトンネルのようになっており、高い木には、ふじがあちらにもこちらにも咲き垂れていた。奈良はふじの花の多い所だが、公園の茶屋のそれなどは、おゝかたすがれてしまっているのに、こゝだけは、まだふさふさとした紫を垂れて美しかった。奈良の若葉はいいなと、私はいまさらのように思った。
 私は緑の深い中を縫いながら、あてもなく歩いた。 
 
    8.  上記の目録に関して、お気づきの点があれば、ぜひお知らせ下さい。  
    9.  文部省発行の新制中学用国語教科書は、下記の図書館で見ることができると思います。ご利用なさる前に、直接問い合わせてご確認ください。

 
国立教育政策研究所 教育研究情報センター  教育図書館
 (東京都千代田区霞が関3-2-2 中央合同庁舎第7号館東館6 Tel.03-6733-6536)
 教科書研究センター(東京都江東区千石1-9-28)
 〇「附属教科書図書館」(Tel. 03-5606-4314)  
              
 〇 東書文庫(東京都北区栄町48-23 Tel. 03-3927-3680)
   
正式名称は「東京書籍株式会社附設 教科書図書館 東書文庫」です。
 筑波大学附属図書館(茨城県つくば市天王台1-1-1 
   
お問い合わせは、なるべく電子メールでとのことです。 Tel. 029-853-6391)
 扶桑書店 「教科書資料館」(愛知県丹羽郡扶桑町高雄字天童111 Tel. 0587-93-1018)
 
広島大学図書館(東広島市鏡山1-2-2  Tel. 082-424-6214)
 
「広島大学図書館 教科書コレクション」があります。
 
福岡教育大学図書館(福岡県宗像市赤間文教町1-5  Tel. 0940-35-1258)
       
 
    10.  国立国会図書館のサイトに『リサーチ・ナビ』があり、そこに「教科書」 「教科書の掲載作品を調べる」があって参考になります。  
    11.  『Do-Links(北海道立図書館情報検索リンク集)』「教科書」があって参考になります。         
    12.  公益財団法人教科書研究センター附属教科書図書「教科書目録情報データベース」いうページがあります。  

 
        
                                                          
        
 
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