たそがれの高原に 花開いているものは、 りんどう。 この世にまぎれ出でた 小さな天使。
かすかに息づいている その花びらは、 褪せてゆく空の青さを さながら吸い取って、 明日へと持ち来たす 天使の日課(つとめ)。 明日の空も 清らかな 神のものであるように、と。
ああ、清楚な花 りんどう。 暮色せまる この草原にあって、 おまえの まなざしの 何と清らかで 満ち足りていることか。
りんどう、 わが心のりんどう。 ひそやかに咲き出でた 小さな天使。 今宵の夢を 澄んだ青さで色どるであろう 天使。
(1957年)
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