資料631 先春梅記(『景山遺稿』による) 



        先春梅記(『景山遺稿』による)

  先春梅記
兒玉匡忠園中有古梅一株樹圍丈餘髙三
丈枝葉縱横根幹輪囷冰姿玉骨老而逾竒
花紅白班色及花時清香馥郁遠襲人徃歳
先君文公在藩也賞遊吟詠時爲寛政三年
己亥正月十有一日矣匡忠之宅其父匡次
所賜而岡﨑朝堅舊宅也相傳此樹佐竹氏
舊物則不知換主幾許歳月荏苒物在人亡 
文公之賞遊在朝堅父朝能時至今既三十
有七年匡忠慨然恐其久而事湮滅請予記
其事將以刻石傳之不朽予大嘉其忠且也
文公休憩遺愛所存不可無言遂應其請名
之曰先春梅且記其梗槩以與之係以銘曰
 色秀衆樹 香掩群芳 髙標逈絶
 老幹屈強 一經風詠 漸換星霜
 遺愛長存 千秋彌章


  (注) 1. 上記の「先春梅記」の本文は、国文学研究資料館の「新日本古典籍綜合データベース」(10~11)に出ている『景山遺稿』によりました。(「館蔵和古書画像のためのテストサイト」82~34)
この『景山遺稿』は、「大正14年、新写本」と注があります。
   
    2. 「先君」「文公」という文字の前を闕字にするのでなく、「先君」「文公」が文頭になるように書かれている点が注目されます。    
    3. 他書との違いは、他書には「佐竹氏舊物不知換主幾許」とあるところが、「佐竹氏舊物不知換主幾許」とあり、「今三十有七年」「予大嘉其」が「今三十有七年」「予大嘉其」となっているところです。    
    4. なお、本文は「文公之賞遊在朝堅父朝能時」の文公之賞遊」の文字が後から書き足した形になっています。
また、「文公休憩遺愛所存」の「所」は、原文は「箱構え」に「折」の入った文字になっています。
   
    5. 資料629に「「先春梅記碑」の碑文」があります。
資料630に「先春梅記(「景山文詩集」による)」があります。
資料632に「先春梅記(「水戸烈公詩歌文集」による)」があります。「水戸烈公詩歌文集」には、編註者・蔭山秋穂氏による「先春梅記」の書き下し文が付いています。資料632をご覧ください。
   
    6. 「先春梅記」の碑の写真
『顎鬚仙人残日録』(あごひげせんにんざんじつろく)というブログに、長山家から弘道館に寄贈された「先春梅記」の拓本の写真が出ていますので、ご覧ください。
 →『顎鬚仙人残日録』 →「偕楽園開設180年と斉昭公の書」
   






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