資料577  張平子(張衡)「帰田賦」(『文選』所収) 



            歸 田 賦         張 平 子    (『文選』による)




遊都邑以永久、無明略以佐時。徒臨川以羨魚、俟河清乎未期。感蔡子之慷慨、從唐生以決疑。諒天道之微昧、追漁父以同嬉。超埃塵以遐逝、與世事乎長辭。
於是仲春令月、時和氣清。原隰鬱茂、百草滋榮。王雎鼓翼、鶬鶊哀鳴。交頸頡頏、關關嚶嚶。於焉逍遙、聊以娯情。爾乃龍吟方澤、虎嘯山丘。仰飛纖繳、俯釣長流。觸矢而斃、貪餌呑鈎。落雲閒之逸禽、懸淵沈之魦鰡。
于時曜靈俄景、係以望舒。極般遊之至樂、雖日夕而忘劬。感老氏之遺誡、將迴駕乎蓬廬。彈五絃之妙指、詠周孔之圖書。揮翰墨以奮藻、陳三皇之軌模。苟縱心於物外、安知榮辱之所如。


  (注) 1. 張平子(張衡)の「歸田賦」(帰田の賦)の本文は、新釈漢文大系81『文選(賦篇)下』(高橋忠彦著、明治書院・平成13年7月25日初版発行)によりました。
新釈漢文大系には、原文に返り点を付してあり、書き下し文・通釈・語釈があります。
   
    2. 万葉集巻五の「梅花謌卅二首幷序」の序に、「于時、初春令月、氣淑風和、(時に、初春の令月にして、氣淑(よ)く風和(やはら)ぎ、)」とあります。その注釈に、この賦の「於是仲春令月、時和氣清。」(是(ここ)に於て仲春令月、時和し氣清し。)が引かれます。ただし、「歸田賦」の令月は陰暦二月(仲春)のことですが、万葉集の「梅花謌卅二首幷序」の序の令月は初春(正月)を指しています。
 ○ 資料576に、「元号「令和」の出典・『万葉集 巻第五』梅花の歌三十二首  序を并せたり の序があります。
   
    3. 作者・張平子は、張衡のこと。
張衡(ちょうこう)=後漢の学者。字は平子。南陽西顎(河南南陽)の人。
  詩賦をよくし、「両京賦」「帰田賦」は有名。また、天文・暦算に通じ、
  渾天儀・候風地動儀(一種の地震計)を作り、円周率の近似値を算出。  
  (78~139)  (『広辞苑』第7版による。)
   
    4. 『万葉集』巻五の「梅花の歌三十二首 序を幷せたり」の原文が資料578にあります。
 ○ 資料578 「梅花の歌三十二首 并序(『万葉集 巻五』所収)」
   
    5. フリー百科事典『ウィキぺディア』に、「帰田賦」の項があります。    



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