資料513 三和無敵流序



   三和無敵流序 

 

古徃今來所以益于劒者以持治
亂之源也天下奥廃盡非劒術兵
法而何哉自古傳世之流法不暇
屈指焉予尋覔諸流既五十
餘霜也辛勤而乾竹絞汁終哮著
其玄奥而豁爾修練前人未發之一
流焉名三龢橆敵流焉其流法哉
臨時應變殺活自在之至理而苟
趣向于修妙文地者電光石火正
爲鈍若斯則蔑〇予誰敵哉或
天運逆地理廃人衟亂則令其天
下靜寧者予所得之三和無敵流
乎故使後人以無力
之〇無殺
之殺無於劒拳之術則治受用不
盡而千流万種歴審於當流
誠門人達
此者宇内獨歩而可無
危亡之憂世


   自訓
 閃電光  撃石火
 貶得眼  已蹉過
 眼流星  機掣電
 殺人刀  活人劒

享保十四年
戊酉仲穐癸未

東海洌常陸那珂郡
水戸那珂湊住
    金澤品充手記

 

 

 

 

 

 

 

 
  (注) 1.  上記の「三和無敵流序」は、ある免許皆伝の資料によって記述しました。読めない漢字があって、漢字が不正確である恐れがあります。           
    2.  〇は不明の漢字。改行は元の資料のとおりにしてあります。    
    3.  上記の本文に「享保十四年戊酉」とありますが、「戊酉」という干支は存在しないはずで、これはどういうことなのでしょうか。享保14年の干支は、己酉のはずですが。
 また、「殺人刀」のところは、原文が「殺人力」となっているのを、「刀」が正しいと見て引用者が改めてあります。
 なお、漢字の、「無」の下の「灬」が「火」になっているものは、「無」に直してあります。
 
の漢字は、島根県立大学の “e漢字” を利用させていただきました。
   
    4.  「自訓」のところに出ている「閃電光 撃石火 貶得眼 已蹉過」は、『無門関』第二十一 雲門屎橛」に引かれている頌の言葉、また、「眼流星 機掣電 殺人刀   活人劒」は、『無門関』第十一 州勘庵主」に引かれている頌の言葉です。
     頌曰
 閃電光 撃石火 貶得眼 已蹉過
     頌曰
 眼流星 機掣電 殺人刀 活人劒
      *
     頌(じゅ)に曰く、
 閃電光(せんでんこう)、撃石火(げきせっか)、
 眼(まなこ)を貶得(さっとく)すれば、已(すで)に蹉過(しゃか)す。 
     頌(じゅ)に曰く、
 眼(まなこ)は流星(りゅうせい)、機(き)は掣電(せいでん)、殺人刀(せつにんとう)、活人劒(かつにんけん)。   
   
    5.  環境依存文字を使用していますので、うまく表示できない場合があります。     
    6.  本文をよく検討してから載せればいいのですが、取り敢えず掲載することにします。     
    7.  フリー百科事典『ウィキペディア』に、「三和無敵流」(さんかむてきりゅう)の項があります。
 → フリー百科事典
『ウィキペディア』
 
→ 「三和無敵流」  
         
   
    8.  三和無敵流(さんかむてきりゅう)=三和無敵流は、江戸時代の武術流派。三和流とも。抜刀術・剣術・杖術・手杖(短杖)術・柔術・捕縄術・外物を伝えていた。金沢厚卜(1673ー1752)が、一刀流と卜伝流の2流を修めた後、諸国修行の間にも刀法拳法など37流を極め、三和無敵流と称したことから始まり、常陸国に広まる。(『ウィキペディア』による)   引用者注:「三和」を「さんか」よ読んでいる点に注意が必要です。

 三和流(さんわりゅう)=[名]剣道の流派のひとつ。江戸時代、天和期(1681-84)に、常陸国の那珂郡水府中湊の住人伊藤十郎左衛門清長が」はじめたもの。[武術流祖録(1843)]  (『精選版日本国語大辞典』による) 引用者注:ここでは「三和」を「さんわ」と読んでいます。

 
『国書データベース』というサイトで、『武術流祖録』を見ることができます。次に挙げるのは筑波大学図書館所蔵のものです。
 →『国書データベース』
  →『武術流祖録』25/40)
 
 次のようにあります。
  三和流 伊藤道隨清長
 寛永年中ノ人也始号傳三郎又改十郎左衛門達刀柔術最為精妙仕水戸家後致仕号道隨元禄十丁丑年九月九日死享年七十歳


   
    9.  小野﨑紀男著『水戸藩の武術』ツーワンライフ出版、平成30年9月28日第1刷発行)に、次のようにあります。

 伊藤清長は、傳三郎、のち十郎左衛門と称し、道隋と号す。槍・剣・柔を和して一流をなし、正保元年より指南を始め、元禄10(1697)年9月9日71歳で没した。(同書270頁)
    (ここに「道隋と号す」とありますが、もしかして「道隋」は「道隨」が正しいでしょうか。)
   





    

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