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(注) |
1. |
上記の本文は、『神奈川大学学術機関リポジトリ』所収『古今小説』の「范巨卿雞黍死生交」によりました。 この『古今小説』は、沢田重淵(一斎)の撰、自筆であるが、出版地・出版年ともに不明ということです(注2参照) 。この「范巨卿雞黍死生交」の本文は、
『古今小説』 → 〔01〕古今小説一沢田 重淵(一斎)〔撰〕 → ファイル「1-2、pdf 」Patial data
№2の 17~19/19 → ファイル「1-3、pdf 」Patial
data №3 の 1~8/19 で見ることができます。 今はダウンロードしないと見られないようなのでリンクを外しました。(2023年10月2日)
→ 神奈川大学図書館OPAC(古今小説[マイクロ資料])
『古今小説』の原文は、『法政大学デジタルアーカイブ』の『正岡子規文庫』に入っているのを見ることができます。(注4参照)
(お断り:「范巨卿雞黍死生交」の「雞」が環境依存文字なので、目次には「鷄」にしてあります。 なお、題名にある「雞黍(けいしょ)」とは、心をこめて人をもてなすことで、『広辞苑』に、次のようにあります。<けいしょ【鶏黍】〔論語微子「子路を止(とど)めて宿(しゅく)せしめ、鶏を殺し黍を為(つく)りて之を食せしむ」〕鶏を殺し黍飯(きびめし)を炊いて食べさせること。転じて、心をこめて人をもてなすこと。>引用者が読みを少し補いました。なお、注5を参照のこと。)
本文冒頭の「這篇言語是結交行言語*交最難」の「言語交最難」は、「言結交最難」ではないかと思われますが、「語*」として原文のままにしてあります。
また、初めのほうに出て来る詩の「手採黃菊泛酒巵」の「黄菊」も、普通の本文は「黄花」になっているようですが、原文のまま「黄菊*」にしてあります。 このすぐ後に出ている「且説張伯元*到家參見老母」の「伯元」も、「元伯」ではないかと思われますが、原文のまま「伯元*」にしてあります。 |
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2. |
『古今小説』の解説は、同じ『神奈川大学 学術機関リポジトリ』の「古今小説」をご覧ください。(今はダウンロードしないと見られないようです。2023年10月2日)
解説の一部を引かせていただくと、
『古今小説』は、中国明代の末期に、馮夢龍が、みずから収拾した話本のうち、まず40編を『全像古今小説』40巻(1巻1話)として刊行し、これを改編改題して『喩世明言』24巻として重刻、ついで『警世通言』40巻、『醒世恒言』40巻を刊行した。『喩世明言』の見返しには「重刻増補古今小説」、『醒世恒言』の見返しには「絵像古今小説」と題されており、『古今小説』とは、以上3言120種の小説全体に与えられた総称である。 神奈川大学図書館所蔵の『古今小説』は、沢田重淵(一斎)の撰、自筆であるが、出版地・出版年ともに不明。沢田重淵(1701-1782)は、江戸の儒者で、京都書肆・風月堂の店主として多数の学術書を出版した。
引用者注:馮夢竜(龍)(フウ ボウリョウ・フウ ムリョウ)=〔人名〕1574-1645。明(ミン)末の文人。字(アザナ)は猶竜または子猶。江蘇(コウソ)省呉県の人。宋(ソウ)・元以来の短編小説を集めた「三言」や、笑話を集めた「笑府」の編者。(『旺文社漢和辞典』改訂新版、1964年3月15日初版、1986年10月20日改訂新版発行による。)
「三言」とは、『喩世(ユセイ)明言』『警世通言』『醒世恒言(セイセイコウゲン)』のこと。 |
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3. |
漢字の字体は、必ずしも原文の字体になっているとは限りません。(新字体のものを旧字体にしてある場合があります。) |
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4. |
『法政大学デジタルアーカイブ』に『正岡子規文庫』があり、その中に『古今小説』自十四
到十六があり、そこで巻十六「范巨卿雞黍死生交」(コマ番号44~/54)を見ることができます。 |
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5. |
『古今小説』の「范巨卿雞黍死生交」は、上田秋成の「菊花の約(ちぎり)」のもとになった小説として知られています。 資料447に、上田秋成「菊花の約」(『雨月物語』より)があります。 |
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6. |
題名にある「雞黍」について、『論語』微子篇から一部を引用しておきます。 子路從而後。遇丈人以杖荷蓧。子路問曰、子見夫子乎。丈人曰、四體不勤、五穀不分。孰爲夫子。植其杖而芸。子路拱而立。止子路宿、殺鷄爲黍而食之、見其二子焉。(以下、略) この「爲黍(きびをつくる)」について、諸橋徹次先生の『掌中論語の講義』に、「黍を爲るは、当時は五穀の中では黍(きび)が最上等のものとされたので、これを炊いて食べさせたのは、優遇したこととなる」とあります。五穀とは、黍・稷・稲・粱・麦、とあります。 手元の『改訂新版漢字源』(2002年)には、<五穀=(1)五種の穀物。稲(米)・黍ショ(もちきび)・稷ショク(こうりゃん)・麦・菽シュク(豆)のこと。▽一説に、麻・黍・稷・麦・豆とも。(2)穀物類の総称。(3)〔国語〕米・麦・黍きび・粟あわ・豆のこと>とあります。 |
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7. |
『高崎経済大学論集』第48巻第4号に、中田妙葉氏の「「菊花の約」における「信義」について─中国白話小説「范巨卿鶏黍死生交」との関係による一考察─」という論文があります。 |
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8. |
李国勝氏の「「菊花の約」考」という論文(同志社国文学会・昭和61年12月30日発行の『同志社国文学』第28号掲載)があります。 → 李国勝 「菊花の約」考 |
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9. |
フリー百科事典『ウィキペディア』
に「馮夢竜」(ふう むりゅう(ぼうりゅう とも))の項があります。(ただし、今のところ書きかけ項目だそうです。2013年1月18日現在) |
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10. |
『寄暢園』というサイトで、「范巨卿雞黍死生交」の訳が見られます。 → 『寄暢園』
→ 樂志堂 → 重陽の約束(一)~(六) |
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