資料435 暫定期国語教科書目次一覧

        

 

   昭和20年(1945年)8月15日に終戦を迎えたわが国は、軍国的な内容の教材に墨塗りを行うことで、取り敢えず今までの教科書を使いつづけることにしました。
 翌昭和21年(1946年)度の教科書は、新聞紙のように印刷されて配布された教科書を、児童・生徒自身が切り分けて綴じて使うという形式のものでした。従って、その教科書には、扉に当たる普通の紙の表紙があるだけで、「表紙」──厚手の表紙は付いていませんでした。
 いわゆる「暫定期の教科書」と言われる、その文部省発行の教科書『ヨミカタ』『よみかた』『初等科国語』と『高等科国語』の目次を、次に示します。

 


 

 


『ヨミカタ 一』  第一学年前期用 (目次なし)
              発行日 第1分冊 昭和21年3月25日(日本書籍)
                  第2分冊 昭和21年4月25日(  〃  )
                  第3分冊 昭和21年7月15日(  〃  )
   アカイ アカイ アサヒ ……
   ホウ ホウ ホタル コイ ……
   「サヤウナラ ゴキゲンヨウ。」……


『ヨミカタ 二』  第一学年後期用 
              発行日 昭和21年10月25日(日本書籍)
                  昭和21年10月20日(大阪書籍)
   一 山ノ上
   二 アシタハ ウンドウクワイ
   三 ウサギト カメ
   四 西ハ 夕ヤケ
   五 カマキリ ヂイサン
   六 サルト カニ
   七 オチバ
   八 イモヤキ
   九 コモリウタ
   十 オイシャサマ
  十一 デンシャゴッコ
  十二 ケンチャン
  十三 冬
  十四 お正月
  十五 ネズミノ ヨメイリ
  十六 シャシン
  十七 カゲヱ
  十八 日本のしるし
  十九 花サカヂヂイ
  二十 ユメ
 二十一 机とこしかけ
 二十二 ウグヒス
 二十三 つくし
 二十四 汽車
 
『よみかた 三』  第二学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年3月10日(東京書籍)
                  第2分冊 昭和21年5月15日(  〃  )
                  第3分冊 昭和21年9月7日(日本書籍)       一 春
   二 鯉のぼり
   三 ささ舟
   四 蛙
   五 むしば
   六 ねずみの ちゑ
   七 川
   八 一寸ぼふし
   九 つゆ
   十 金魚
  十一 花火
  十二 きりぎりす
  十三 海
  十四 子馬
  十五 うさぎと たぬき
  十六 自動車
  十七 長い道
  十八 うらしま太郎
  十九 富士山
  二十 早鳥
 二十一 かぐやひめ
 二十二 鏡
 二十三 乘合自動車
 二十四 かけっこ
 二十五 たぬきの 腹づつみ
 二十六 滿洲の冬
 二十七 白兎
 二十八 北風と南風
 二十九 羽衣
 
『よみかた 四』  第二学年後期用
              発行日 昭和21年11月10日(日本書籍)
   一 にはとり
   二 お話と文
   三 しんせつ
   四 がんのなかま
   五 お正月あそび
   六 いろはがるた
   七 たとへばなし
   八 雪


『初等科国語 一』  第三学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年3月25日(日本書籍)
                  第2分冊 昭和21年5月10日(東京書籍)
                  第3分冊 昭和21年9月5日(日本書籍)    
   一 光は空から
   二 おたまじゃくし
   三 かひこ
   四 おさかな
   五 ふなつり
   六 川をくだる
   七 田植
   八 電車 
   九 子ども八百屋
   十 夏の午後
  十一 夏やすみ
  十二 日記
  十三 月と雲
  十四 つりばりの行くへ
  十五 田道間守
  十六 映畫
  十七 聖德太子
  十八 養老
  十九 ぼくの望遠鏡
  二十 秋
 二十一 火事
 二十二 菅原道眞
 二十三 梅
 二十四 小さな温床
 二十五 雪舟
 二十六 春の雨
 二十七 大れふ
 

『初等科国語 二』  第三学年後期用
              発行日 昭和21年10月30日(日本書籍)
   一 小さなねじ
   二 川のうた
   三 かかし
   四 金のさかな
   五 良寛
   六 うちのほほじろ
   七 イソップものがたり
   八 うさぎさん 


『初等科国語 三』  第四学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年3月20日(日本書籍)
                  第2分冊 昭和21年4月30日(東京書籍)
                  第3分冊 昭和21年9月10日(日本書籍)       一 朝の海べ
   二 潮干狩
   三 光明皇后
   四 苗代のころ
   五 笛の名人
   六 機械
   七 國旗掲揚臺
   八 夏
   九 油蟬の一生
   十 とびこみ臺
  十一 千早城
  十二 錦の御旗
  十三 母馬子馬
  十四 くものす
  十五 夕日
  十六 燕はどこへ行く
  十七 バナナ
  十八 林の中
  十九 川土手
  二十 振子時計
 二十一 水族館
 二十二 母の日
 二十三 みにくいあひるの子


『初等科国語 四』  第四学年後期用
              発行日 昭和21年11月20日(日本書籍)
   一 稻を育てて
   二 汽車の中
   三 たてごとの一曲
   四 火をたく樂しみ
   五 どんぐりと山ねこ
   六 貝づか
   七 音といふもの
   八 一ぴきのくも 


『初等科国語 五』  第五学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年3月25日(日本書籍)
                  第2分冊 昭和21年5月10日(東京書籍)
                  第3分冊 昭和21年9月10日(  〃  )    
   一 ことばと文字
   二 海の幸
   三 かんこ鳥
   四 炭燒小屋
   五 ぼくの子馬
   六 星の話
   七 遠泳
   八 海底を行く
   九 秋のおとづれ
   十 武士のおもかげ
  十一 弟橘媛
  十二 稻むらの火
  十三 月の世界
  十四 柿の色
  十五 初冬二題
  十六 豐田佐吉
  十七 頂一つ
  十八 漢字の音と訓
  十九 塗り物の話
  二十 ばらの芽
 二十一 茶わんの湯


『初等科国語 六』  第五学年後期用
              発行日 昭和21年11月10日(日本書籍)
   一 ことば
   二 田園
   三 幸福
   四 世の中は
   五 冬の夜
   六 ある時
   七 思ひ出の一節
   八 父の看病


『初等科国語 七』  第六学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年3月30日(日本書籍)
                  第2分冊 昭和21年5月25日(東京書籍)
                  第3分冊 昭和21年7月30日(  〃  )
   一 黑龍江の解氷
   二 敬語の使ひ方
   三 見わたせば
   四 源氏物語
   五 姉
   六 晴れ間
   七 雲のさまざま
   八 山の朝
   九 燕岳に登る
   十 月光の曲
  十一 朝顔に
  十二 古事記
  十三 われは海の子
  十四 いけ花
  十五 玉のひびき
  十六 山の生活
  十七 孔子と顔回
  十八 奈良の四季
  十九 萬葉集
  二十 修行者と羅刹


『初等科国語 八』  第六学年後期用
              発行日 昭和21年11月25日(東京書籍)
   一 太陽と歌
   二 生きたことば
   三 めぐりあひ
   四 古典思慕
   五 幸福の園 
 
     * * * * * * * *



『高等科国語 一』  第一学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年4月15日(日本書籍)
                       昭和21年3月23日(東京書籍)
                  第2分冊 昭和21年5月10日(  〃  )
                  第3分冊 昭和21年9月30日(日本書籍)    
   一 大海に
   二 法隆寺
   三 黑潮と親潮
   四 五月の太陽
   五 門を出て
   六 和算の天才
   七 燈標の火
   八 武將物語
   九 緋縅の鎧
   十 言葉の觀察
  十一 富士の高嶺
  十二 田園の曲
  十三 姫路城
  十四 旅の思ひ出
  十五 春の水
  十六 單語のいろいろ
  十七 雪の山 


『高等科国語 二』  第一学年後期用
              発行日 昭和21年11月20日(大阪書籍)

   一 知識と迷信
   二 感知
   三 りすを育てる
   四 實物とその模型
   五 雪の映畫
   六 二宮金次郎
   七 少年筆耕


『高等科国語 三』  第二学年前期用
              発行日 第1分冊 昭和21年4月5日(日本書籍)
                       昭和21年3月22日(東京書籍)
                  第2分冊 昭和21年7月20日(日本書籍)
                  第3分冊 昭和21年9月30日(  〃  )

   一 大和は國のまほろば
   二 隨筆
   三 トンネルを掘る
   四 新星
   五 用語の活用
   六 昭憲皇太后御作 禁庭の野分
   七 心の小徑
   八 故郷へ
   九 奥の細道
   十 新しき眼
  十一 敷島の道 


『高等科国語 四』  第二学年後期用
              発行日 昭和21年12月20日(日本書籍)
                  昭和21年12月15日(東京書籍)
   一 小林山
   二 下手物
   三 萬葉秀歌
   四 キュリー夫人
   五 銀の燭臺


 


 
   (注) 1. 上記「暫定期国語教科書目次一覧」の『初等科国語』と『中等国語』の目次は、 『CiNii』(論
         文情報ナビゲータ 国立情報学研究所)というサイトの『國學院女子短期大学紀要 Vol.2』掲
         載の「昭和21年度暫定教科書目録等一覧─国民学校用─」(谷口一弘・谷内鴻)という論文に
         よりました。詳しくは、同論文を参照してください。
          この論文では、暫定期の教科書についての詳しい解説も見られます。

              
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        2. 暫定期の文部省著作教科書は、当時日本が連合国軍の占領下にあったため、教科書の奥
         付にローマ字で「Approved by Ministry of Education(Date Aug. 13, 1946)」などと記されてい
         ます。
        3. 昭和21年度使用の教科書は「暫定教科書」と呼ばれていますが、これについて上記の「昭和
         21年度暫定教科書目録等一覧─国民学校用─」の「はじめに」に、次のように書かれています。
            
敗戦直後の印刷能力や給紙事情等もあり、例えば昭和21年3月発行の国語教科書「ヨミカタ、一」
            第1分冊(1ネン上)は、16ページ刷り放し(本文13頁)のワラ半紙に印刷された製本もされていない、
            本文2段組5号活字によるまことに粗末なものであった。使用に際しては、ナイフを入れA5判に切り揃
            えることから始まり、概ね他の教科も同様の体裁であったため、別に「折りたたみ教科書」とも呼ばれて
            いる。
             昭和16年に発足した「国民学校」制度が戦後の昭和22年4月、6・3制と共にその名が消え「小学
            校」と復活するのであるが、この「暫定教科書」は「国民学校」の名を冠した最後の教科書であると同
            時に、戦後最初の教科書でもある。さらに翌22年度からの「文部省著作教科書」そして現行検定制
            度下の教科書へと続く、いわばその橋渡しという観点からも、まさに暫定的であったといえよう。
         
         4. 資料436に「国指定重要文化財「近代教科書関係資料」」があります。近代の教科書が
          国指定の重要文化財に指定されています。     

 

     

                                      
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