資料263 国民学校暫定教科書『初等科國語八』(本文)
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一 太陽と歌 |
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(注) | 1. | この教科書本文は、『文部省著作 暫定教科書(国民学校用) 第三巻』(中村紀久二監修、大空社 昭和59年5月26日発行)によりました。 | |||
2. | 「太陽と歌」は、手元にある山本有三編著の『心に太陽を持て』(新潮社、昭和44年12月15日発行)には、詩・文章とも少し変わった形で載っており、「心に太陽を持て」の詩は、そこに掲載されている團伊玖麿作曲の譜面には「歌詞 青少年文化の会」となっています。 「心に太陽を持て」 心に太陽を持て。/ あらしが ふこうと、/ ふゞきが こようと、/ 天には黒くも / 地には争いが絶えなかろうと、 / いつも、心に太陽を持て。// くちびるに歌を持て、/ 軽く、ほがらかに。/ 自分のつとめ、/自分のくらしに、/ よしや苦労が絶えなかろうと、/ いつも、くちびるに歌を持て。// 苦しんでいる人、/ なやんでいる人には、/ こう、はげましてやろう。/ 「勇気を失うな。/ くちびるに歌を持て。/ 心に太陽を持て。」 ─フライシュレンによる─ 文章のほうは、「くちびるに歌を持て」という題で、書き出しが次のようになっています。 イギリスは、海流の関係で、たいへん霧の多い国です。/ 一九二〇年十月の、ある夜のことです。その晩は、月がないばかりか、イギリス名物の霧が、海上に厚くたちこめていました。/ この国の北部、スコットランドの西がわに、コーンウォール・ポイントというところがあります。そこの沖あいを、ローワン号という、小さな汽船が走っていました。 教科書掲載の詩・文と、山本有三編著『心に太陽を持て』との関係は、どう考えればいいのでしょうか。 また、「めぐりあひ」「幸福の園」の作者(訳者)は、現在のところ引用者には不明です。もし、こうした形での教科書本文の公開の仕方に著作権法上問題がある場合には、直ちに対処するつもりでおりますので、ご連絡をお願い致します。(2008年4月29日) 「めぐりあひ」の主人公「満坊」は、クラーク先生の弟子として知られる大島正健氏の長男・正満氏であると思われます。とすると筆者も大島正満氏である可能性が高いので、著作権を考慮する必要があるかも知れません。この件について、考慮してみます。(2008年5月1日) |
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3. | この教科書は、昭和21年に小学校の6年生になった生徒たちが使った国語の教科書(6学年後期用)です。この年は終戦の翌年で、急いで用意された教科書であったため、新聞紙のように印刷された紙を配られ、生徒自身が紙を切り揃えてそれを綴じて使った教科書でした。次の年には一応整った教科書が作られたため、この教科書は昭和21年度の1年間しか使われませんでした。 | ||||
4. | 「文部省発行の暫定教科書『初等科國語七』『初等科國語八』目録」が、資料223にあります。 そこに暫定教科書について書かれた論文の案内も出ていますので、ご覧下さい。 |
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5. | 暫定期国民学校教科書第6学年前期用の『初等科国語七』(本文)は、資料262にあります。 | ||||
6. | 国立国会図書館の『レファレンス協同データベース』に、暫定教科書についての質問に対する回答があり、参考になります。 |