資料638  「紅梅白梅」(遅塚麗水・雑誌『新公論』より)


この「紅梅白梅」は、大正2年に発行された遅塚金太郎(麗水)著『山水供養』に掲載されたものを、5年後の大正7年に発行された雑誌『新公論』(大正7年2月号・第33巻第2号)に、文章を書き改めて掲載したものです。

(参考)
 → 資料634 「先春梅を看る」遅塚金太郎(麗水)著(雑誌『山水供養』より)


  紅梅白梅
   二
 弘道館を出でゝ上市は黒羽根の中崎醫院の庭に先春梅を観る、文禄年間、佐竹侯の臣岡本梅香齋の邸の趾を傳へられ、樹は實にその人の遺愛の物だといふ事である、當時ですら既に相應な成木であつたであらう、正しく四百年外のものである、義公しばしばこの花を看に来られて、花の陰に茶筵を催されたこともあるさうな、烈公の代になつても、其の佳躅を繼いで花の頃にはたびたび駕を抂げられた、そして寒水石の小碑を立てゝ自ら撰んで記文を刻された、樹は殘りなく頽齡にかたむいて、臥龍梅といふさまに幹は朽ち、根のほとりのみ僅かに樹皮を餘すのみではあるが、一脈の精氣は春信を通じて、枝頭に淡紅の花を着けてゐる、この老梅は正しく水府萬梅のうちに在つて、其の長者である。
(以下、省略)

  (注) 1. 本文は、『国立国会図書館デジタルコレクション』所収の『新公論』大正7年2月号(大正7年2月1日発行)所収の遅塚麗水「紅梅白梅」によりました。
  『国立国会図書館デジタルコレクション』
『新公論』第33巻第2号 
     
(「紅梅白梅」は57~59/131にあります。)

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    2. 文中の「しばしば」「たびたび」は、原文は平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号が用いられています。
なお、「岡本梅香齋の邸の趾を傳へられ」の「を」は、原文のままです。
   
    3. 文中に「義公しばしばこの花を看に来られて、花の陰に茶筵を催されたこともあるさうな」「烈公の代になつても、其の佳躅を繼いで花の頃にはたびたび駕を抂げられた」とありますが、この事実を記載した文章がどこかにあるでしょうか。    
           
 




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