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(注) |
1. |
上記の二葉亭四迷訳「あひゞき」は、岩波書店版『二葉亭四迷全集
第一巻』(昭和39年9月26日第1刷発行)によりました。 |
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2. |
この「あひゞき」は、ツルゲーネフの散文詩風の短編小説集『猟人日記』の中の一編を訳したもので、明治21年7月(第3巻第25号)と8月(第3巻第27号)の『国民之友』に掲載されました。 |
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3. |
本文中の平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号は、普通の仮名を当てて表記しました。(「ほそぼそ」「パラパラ」「をりをり」など) |
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4. |
明治書院版の『現代日本文学大事典』(久松潜一ほか4氏編集、昭和40年11月30日初版発行)の「あひゞき」の解説には、次のようにあります。
……ツルゲーネフ原作の、ロシアの農村に取材した散文詩風の短編小説集『猟人日記』(1847~52)の中の一編。29年11月春陽堂刊行の翻訳集『かた恋』に収めるにあたって全面的に改訳したが、多くの明治作家たちにいちじるしい影響を与えたのは、初出の訳文である。この一編は、若い男女の心理の機微を自然のうつろいを背景にさわやかにえがいているが、原作の音調や句切りにまで注意をくばりながら、自由な洗練された口語文によってその妙味を移植しようとした翻訳文学中の画期的な佳品である。正宗白鳥は、日本の近代文学は、この一編からはじまるとさえいっている。(後略)〔稲垣達郎〕 |
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5. |
上記の岩波書店版『二葉亭四迷全集
第一巻』の巻末に、「「あひゞき」「めぐりあひ(奇遇)」「片戀」の反響」として、思案外史「「あひびき」を讀んで」(「國民之友」第30号、明治21年9月21日)、蒲原有明「『あひびき』に就て」(「二葉亭四迷」坪内逍遙・内田魯庵編輯、明治42年8月1日発行)が収録してあります。 |
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6. |
〇二葉亭四迷(ふたばてい・しめい)=小説家。本名、長谷川辰之助。江戸の生れ。東京外語中退。坪内逍遙に兄事。1887年(明治20)「浮雲」を書き、言文一致体の文章と優れた心理描写とで新生面を開いた。ロシア文学の翻訳にも秀で、「あひゞき」などの名訳がある。ほかに「其面影」「平凡」など。1908年ロシアに赴き、病を得て帰国の途中インド洋上に没。(1864~1909)
〇ツルゲーネフ(Ivan S.Turgenev)=ロシアの小説家。短編集「猟人日記」は農奴制に対する文学的抗議と受け止められた。「貴族の巣」「その前夜」「父と子」などの長編で時代の変動と知識人の精神史を描く。その他「初恋」「アーシャ」(二葉亭四迷訳「片恋」)、「散文詩」など。トゥルゲーネフ。(1818~1883) (以上、『広辞苑』第6版による。) |
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7. |
明治29年11月に春陽堂から刊行された翻訳集『片戀』に収録された、改訳「あひゞき」の本文が、資料248 二葉亭四迷訳「あひびき」(改訳・ツルゲーネフ)にあります。
なお、改訳「あひゞき」の本文は、『国立国会図書館デジタルコレクション』の中に、明治29年11月13日春陽堂発行のツルゲーネフ著・二葉亭四迷訳『片恋』が入っており、その中に「片恋」の他に「奇遇」「あひゞき」の2編が収録されていて、画像で単行本の本文を見ることができます。(「あひゞき」は、104-115
/148) |
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8. |
現代かなづかい表記による「あいびき」が青空文庫にあります。この本文は、集英社版『日本文学全集1 坪内逍遥・二葉亭四迷集』(1969(昭和44)年12月25日初版発行)によったもので、『国民之友』掲載の本文です。 |
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