(注) | 1. | 上記の「顕浄土真実教行証文類序」は、『眞本敎行信證御自釋
万延刊本延書對照』(雲村賢淳編、法蔵館・昭和61年2月10日第1刷発行)に出ている本文によりました。
(この本は昭和61年2月10日第1刷発行となっていますが、同じ本と思われるものが、昭和35年7月20日発行にあります。) 本文についている訓点は、これを省略しました。 句読点については、本文にはすべて句点が用いられていますが、引用者の判断で読点を用い、句読点の個所は引用者の判断によってつけてあります。 本書は国立国会図書館デジタルコレクションに入っています。ただし、この本は「個人送信サービス利用」になりますので、読むためには利用者登録が必要です。 → 国立国会図書館デジタルコレクション →『眞本敎行信證御自釋 萬延刊本延書對照』 →「顯淨土眞實敎行證文類序」(17~18/145) |
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2. | 書き下し文の「読み仮名」は、岩波文庫の『教行信証』(金子大栄校訂、1957年10月7日第1刷発行、2003年7月25日第47刷発行)に拠りました。 岩波文庫の『教行信証』は、「萬延二年に刊行された延書本を底本(ていほん)とし、」「漢字に附してあった萬延本の振ガナはそのままとし」た、と凡例にあります。 |
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3. |
本文の末尾にある「嘆所獲矣」の「嘆」の左には、「ホム」と振り仮名がついています。「褒む」(ほめる。たたえる。)の意でしょう。 また、本文の末尾にある「大無量壽經 眞實之敎 淨土眞宗」の細字の文字(眞實之敎 淨土眞宗)は、「大無量壽經」の下に2行に分かち書きされているものです。 |
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4. | 【書き下し文】の「うたがひをのぞき德*(とく)をえしむる眞理(しんり)なり」の「德」について これは、上に挙げた漢文の本文に「難信金剛信樂除疑獲證眞理也」とある「除疑獲證眞理」の「證」が、書き下し文には「德」となっているという問題です。 このことについて、大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員の青柳英司氏の「顯淨土眞實敎行證文類序」(総序)という【研究レポート】があって、たいへん参考になります。 →【研究レポート】「顯淨土眞實敎行證文類序」(総序)青柳英司 この青柳氏のレポートは、親鸞の畢生の書である「顯淨土眞實敎行證文類」の本文に対する研究の整理と検証の成果の一部を収めた研究レポートの由です。 この問題について青柳氏は次のように書いておられます。それを要約して紹介します。 (青柳氏が取り上げているのは、高田専修寺本の「総序」に「難信金剛信樂除疑獲證眞理也」とあるものが、西本願寺本の「総序」には「難信金剛信樂除疑獲德眞理也」となっている問題です。) 『教行信証』の古写本である高田専修寺本と西本願寺本の「総序」を比較してみると、それほど多くの違いは見られないので、現存する唯一の親鸞自筆の『教行信証』としての坂東本の「総序」も、両者とほぼ同じ形態であったと推測できる。ただ、漢字の相違点が2個所に見られ、そのうちの一つは、高田本が「證」であるのに対し西本願寺本は「德」となっているところである。 西本願寺本は上欄に「證」と注記しているが、『淨土文類聚鈔』には「除疑獲徳之神方」という表現が見られ、また源覚書写本(1346年)を始めとする多くの延書本が「德」の字となっているので、「德」の表記を単なる誤記と言い切ることは難しい。 この問題については、既に江戸期から言及が見られる。(同レポート、140頁を要約。) 青柳氏は、このことについて詳しく検討された上で、初め「證」と書かれたものが、その後「德」に改訂されたものと思われる、として、「本レポートにおいても、さしあたり「除疑獲德」という表記を採用したい」と書いておられます。 詳しい解説は、同「研究レポート」を参照してください。 |
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5. |
教行信証の総序について (1)『本元寺 真宗大谷派(東本願寺)』のホームページに「本元寺 真宗大谷派(お経の解説)」があり、そこに「教行信証(総序)」についての解説があって参考になります。 →『本元寺 真宗大谷派(東本願寺)』 →「本元寺 真宗大谷派(お経の解説)」 →「教行信証(総序)」 (2)『真宗大谷派 東本願寺』のホームページに、「浄土真宗・親鸞聖人関連ワード」があり、そこに「顕浄土真実教行証文類(教行信証)」について、次のようにあります。 親鸞聖人の主著であり、浄土真宗の根本聖典(こんぽんせいてん)で、『教行信証』と略称されています。「教巻」・「行巻」・「信巻」・「証巻」・「真仏土巻」・「化身土巻」の6巻からなっており、冒頭に総序(そうじょ)、行巻の前に別序(べつじょ)、巻末には後序(ごじょ)が置かれています。/真宗大谷派には、親鸞聖人自筆の「坂東本(ばんどうぼん)」が伝わっており、国宝に指定されています。 →『真宗大谷派 東本願寺』 →「顕浄土真実教行証文類(教行信証)」 またここには「親鸞聖人の生涯」のページがあり、参考になります。 →「親鸞聖人の生涯」 |
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6. | 『浄土真宗・現代語版』というサイトに、「教行信証現代語訳版の総序」があり、現代語訳が見られて参考になります。 →『浄土真宗・現代語版』 →「第378回 教行信証現代語訳版の総序」 |
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7. |
【参考】 (1)『web版 新纂浄土宗大辞典』に、「教行信証」の項があります。 →『web版 新纂浄土宗大辞典』 →「教行信証」 (2)「教行信証」は、『SAT大正新脩大藏経テキストデータベース』にも入っています。 →『SAT大正新脩大藏経テキストデータベース』 (3)『web版 新纂浄土宗大辞典』に「教行信証」の項があって参考になります。 →『web版 新纂浄土宗大辞典』「教行信証」 |