(注) | 1. | 上記の文選所収の「上書諫呉王」(上書して呉王を諫む)の本文は、新釈漢文大系83『文選(文章篇)中』(武田晃著。明治書院・平成10年7月30日初版発行)によりました。 | |||||||
2. | 枚乗(ばいじょう)の「上書諫呉王」は、『説苑』巻九、『漢書』巻五十一、『文選』巻三十九に収められているそうですから、出典としては『説苑』をあげることになるかと思います。ただ、ここには『文選』所収の本文を載せることにしました。 | ||||||||
3. | 文中の「」は、島根県立大学の ‟e漢字” を利用させていただきました。新釈漢文大系の語釈に、「「」は綆に同じで、なわ・つな。ここは井戸の水を汲むときに用いる釣瓶の縄」とあります。 | ||||||||
4. |
枚乗の「上書諫呉王」は、「間髪を容れず」の出典です。 墜入深淵難以復出其出不出間不容髮 (墜(お)ちて深淵に入(い)れば、以て復た出で難し。其の出づると出でざると、間(かん)髪(はつ)を容れず) 原文は「間不容髪」ですから、「間髪を容れず」は「かん、はつをいれず」と言うべきで、これを「かんぱつをいれず」と言うのは、好ましくないというか、誤りというべきでしょう。 『広辞苑』(第7版)で「間髪を容れず」を引いてみると、
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5. | 筆者の枚乗(ばいじょう)の「枚」の読みについて 枚乗の「枚」は、呉音・マイ・メ、漢音・バイなので、枚乗は、漢音でバイジョウと読んでいます。 |
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6. |
〇説苑(ぜいえん)=君主を訓戒するための逸話を列挙した説話集。君道・臣術・建本・立節・貴徳・復恩など20編。漢の劉向(りゅうきょう)撰。 ※ 劉向(前77~前6) 〇漢書(かんじょ)=二十四史の一つ。前漢の歴史を記した紀伝体の書。後漢の班固の撰。本紀12巻、表8巻、志10巻、列伝70巻。計100巻(現行120巻)。82年頃成立。妹班昭が兄の死後、表および天文志を補う。紀伝体の断代史という形式は後世史家の範となる。前漢書。西漢書。 ※ 班固(32~92) 〇文選(もんぜん)=中国の周から梁にいたる千年間の詩文集。体裁別・年代人順に収録。30巻、のち60巻。梁の昭明太子(蕭統しょうとう)が、正統文学の優れたものを集大成することを意図して、文人の協力のもとに編。後世、知識人の必読書とされ、日本でも平安時代に盛行。 ※ 昭明太子(501~531) (以上、『広辞苑』第7版による。) |