(注) | 1. | 上記の『徒然草』第137段「花は盛りに、月は隈なきをのみ……」の本文は、岩波文庫『新訂徒然草』(西尾実・安良岡康作校注、1928年12月25日第1刷発行・1985年1月16日第70刷改版発行・1989年5月16日第80刷発行)によりました。 | |||
2. |
本文中の振り仮名(ルビ)は、引用者が必要と思うものの外は省略してあります。 また、平仮名の「く」を縦に伸ばした形の繰り返し符号は、同じ仮名を繰り返して表記してあります。(「おのおの」「すゑずゑ(振り仮名)」「きらきら」「さまざま」「つれづれ」「またまた」) |
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3. | 岩波文庫の『新訂徒然草』は、「昭和13年度・昭和40年度の校訂と同じく、烏丸光広本(からすまるみつひろぼん)を底本とすることにした」と、凡例にあります。 | ||||
4. | <岩波文庫の『徒然草』は、『徒然草文段抄(もんだんしょう)』の本文を底本とする、昭和3年の初版発行以来、烏丸光広本による、昭和13年度・昭和40年度の改訂を経て、今回の第4回の新訂に至ったのであるが、すべては、前校訂者、西尾実先生の深い研究と高い見識にもとづくものであった。(以下、略)>と、岩波文庫冒頭の「凡例」に安良岡康作氏が書いておられます。 | ||||
5. |
いくつかの語句の注をつけておきます。(岩波文庫の注を利用させていただきました。詳しい注は、文庫の注を参照してください。) 〇椎柴……椎の木。また、その叢生しているもの。 〇見事いと遅し……見物(みもの)の行列の来るのが、ひどく遅れている。 〇滴(したゞ)る……日ポ辞書に「シタダリ、ル、ダッタ」。 〇鬻(ひさ)く者……売る者。「ヒサク」は清音。 〇継子立(ままこだて)……古くからあった、算術を応用した遊戯。黒白の石を15個ずつ、一定の順に円形に配列し、その中の一つの黒石を起点として数え始めて、10番目の白石を除き、続けて、その次の石から同じ方向に数えて10番目の白石を除く。こうして次々に数えて除いてゆくと、最後に白石1個と黒石15個とが残る。そこで、この白石1個と黒石15個とについて、その白石から逆方向に、同じ方法で10番目の石を次々に取り除いてゆくと、最後に、白石1個だけが残る。黒石を実子(じっし)、白石を継子(ままこ)と見立てて「立て」即ち配置する遊びなので、「継子立」という。 引用者注:「逆方向に」の部分には、文庫本文には傍点がついています。しかし、なぜここに「逆方向に」とあるのでしょうか。今までと同じ方向でも、結果は同じになるはずだと思うのですが? なお、ここの「継子立て」は、どの石も結局は取られることを免れないのと同様に、人は誰も死を免れない、という意味で用いられています。 |
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6. | 〇継子立(ままこだて)=碁石でする遊びの一種。黒白の石それぞれ15個ずつ、合計30個を何らかの順序で円形に並べ、あらかじめ定められた場所にある石を起点として10番目にあたる石を取り除き、順次10番目の石を取っていって、最後に一つ残った石を勝とするもの。石の排列をくふうして、黒が勝つように、また白が勝つように、さらに特定の石が勝つようにすることができる。白・黒を、それぞれ先妻の子・後妻の子に見立ててあるところからこの名がある。継子算。*徒然草─137「ままこだてといふものを双六の石にて作りて、立て並べたるほどは、取られん事いづれの石とも知らねども」*黄表紙・文武二道万 石通─下「百人にておっとりまきしは、ままこだてにことならず」
〇ままこだての算用(さんよう)に等し=(「徒然草─137」による)人間はすべて死からのがれられないことのたとえ。*譬喩尽─五「継子立(ママコダテ)の算用に等し 無常を示す也」 (以上の2項は、『日本国語大辞典』〔縮刷版〕第9巻(昭和56年2月25日縮刷版第1版第1刷発行)による。) 〇継子立て(ままこだて)=碁石でする遊びの一種。黒白各15個の石を黒2・白1・黒3・白5・黒2・白2・黒4・白1・黒1・白3・黒1・白2・黒2・白1の順で円形に並べてその中の最初に置いた石を起点として、10番目に当たるものを取っていくと、白だけ取れて黒が残るという遊戯。「塵劫記(じんごうき)」で著名となった問題。継子算。徒然草「─といふものを双六(すぐろく)の石にて作りて」 〇塵劫記(じんごうき)=江戸時代初期の算術書。吉田光由著。1627年(寛永4)成る。中国のそろばんによる算術を参考にし、数学遊戯も交えた平易な入門書。明治末まで、同類の版本が多数刊行され、算術書の異名となった。 〇徒然草(つれづれぐさ)=鎌倉時代の随筆。2巻。作者は兼好法師。出家前の1310年(延慶3)頃から31年(元弘1)にかけて断続的に書いたものか。「つれづれなるままに」と筆を起こす序段のほか、種々の思索的随想や見聞など243段より成る。名文の誉れ高く、枕草子と共に日本の随筆文学の双璧。 〇徒然草文段抄(つれづれぐさ・もんだんしょう)=徒然草の注釈書。7巻。北村季吟著。1667年(寛文7)刊。各段をさらに数節に小分けして説明し、注は「寿命院抄」「野槌」以下の旧説を取捨して穏健な自説を加える。(以上の4項は、『広辞苑』第7版による。) 引用者注:「寿命院抄」とは、安土桃山~江戸前期の医学者・秦宗巴の著した、徒然草の最初の注釈書。「徒然草寿命院抄」とも。また、「野槌」は、林羅山の著した徒然草の注釈書。 |
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7. |
国立国会図書館デジタルコレクションに、『新編塵劫記』3巻が入っています。 国立国会図書館デジタルコレクション → 『新編塵劫記』3巻 「継子立て」は、 47/60 に出ています。 また、昭和10年にこの『新編塵劫記』を謄写した本(『新編塵劫記』上巻・中巻・下巻)が入っています。「本書は発行者所蔵の吉田光由編 新編塵劫記(版本)に依り謄写す」と注記があります。 『新編塵劫記』上巻・中巻・下巻(昭和10年10月22日、澤村寛編輯・発行。発行所:古典数学書院) → 『新編塵劫記』上巻 → 『新編塵劫記』中巻 → 『新編塵劫記』下巻 |
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8. |
『江戸の数学』に、『新編塵劫記』3巻の紹介記事があります。 『江戸の数学』 →『新編塵劫記』3巻の紹介記事 |
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9. | 『Zaco's
Page』というサイトに、「国語の先生の為のテキストファイル集」というページがあり、そこに『徒然草』の本文が入っています。(2012年5月25日付記) 『Zaco's Page』→「国語の先生の為のテキストファイル集」 |