資料659 『衆経撰雑譬喩』巻上第八




      『衆經撰雜譬喩』巻上第八
    比丘道畧集
姚秦三藏法師鳩摩羅什譯
 
                                
                                   
(八)一切衆生貪著世樂不慮無常。不以大患爲苦。譬如昔有一人遭事應死。繋在牢獄恐死而逃走。國法若有死囚踰獄走者。即放狂象令蹈殺。於是放狂象令逐此罪囚。囚見象欲至走入墟井中。下有一大毒龍張口向上。復四毒蛇在井四邊。有一草根此囚怖畏一心急捉此草根。復有兩白鼠嚙此草根。時井上有一大樹。樹中有蜜。一日之中有一滴蜜墮此人口中。其人得此一滴。但憶此蜜不復憶種種衆苦。便不復欲出此井。是故聖人借以爲喩。獄者三界囚衆生。狂象者無常。井衆生宅也。下毒龍者地獄也。四毒蛇者四大也。草根者人命根也。白鼠者日月也。日月尅食人命日日損減無有暫住。然衆生貪著世樂不思大患。是故行者當觀無常以離衆苦



  (注) 1.  上記の『衆経撰雑譬喩』巻上第八は、『大正新脩大蔵経』第4巻本縁部下(大正一切経刊行会、大正13年7月15日発行)所収の『衆経撰雑譬喩 巻上』によりました。
 『衆経撰雑譬喩 巻上』は、国会図書館デジタルコレクションで見ることができます。ただし、「個人送信サービス利用」になるので、利用者登録が必要です。
 →  国立国会図書館デジタルコレクション 
  →『衆経撰雑譬喩 巻上』 280/420
  →『衆経撰雑譬喩』巻上第八 281/420
   
    2.  類話に、資料650「仏説譬喩経(『大正新脩大蔵経』第4巻による)」と資料658「賓頭盧為優陀延王説法経」があります。
 →  資料650 仏説譬喩経(『大正新脩大蔵経』第4巻による)
 →  資料658「賓頭盧為優陀延王説法経」
   
    3.  『篠栗四国八十八カ所の魅力を発信するホームページ』というのがあって、そこに『衆経撰雑譬喩』の旅人の話を分かりやすく現代語で書いた文章(「甘い蜜」)が出ていて参考になります。
 →『篠栗四国八十八カ所の魅力を発信するホームページ』
  → 甘い蜜衆経撰雑譬喩八話
   
    4.   〇『仏説譬喩経』と『衆経撰雑譬喩』との違い
  旅人 ←→ 牢獄に繋がれた囚人
  旅人が象に襲われる ←→ 脱獄した囚人が、国法によって象に逐われる
  樹の根 ←→ 草の根 
  黒と白の二匹の鼠 ←→ 二匹の白鼠
   
    5.  「二鼠、四蛇」に関する「日本挽歌」の序(万葉集巻五)が、資料660にあります。
 → 資料660 「日本挽歌」の序(万葉集巻五)
   







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