資料567 白居易「草堂記」(『白氏文集』巻第二十六)

     

 

      草堂記              白居易 
 

 

 

 

 

匡廬奇秀甲天下山山北峯曰香爐峯北寺曰遺愛寺介峯寺閒其境勝絶又甲廬山
元和十一年秋太原人白樂天見而愛之若遠行客過故郷戀戀不能去因面峯腋寺作爲草堂明年春草堂成三閒兩柱二室四牗廣袤豐殺一稱心力洞北戸來陰風防徂暑也敞南甍納陽日虞祁寒也木斲而已不加丹牆圬而已不加白階用石冪窗用紙竹簾紵幃率稱是焉堂中設木榻四素屛二漆琴一張儒道佛書各三兩巻樂天既來爲主仰觀山俯聽泉傍睨竹樹雲石自辰及酉應接不暇俄而物誘氣隨外適内和一宿體寧再宿心恬三宿後頽然 然不知其然而然自問其故答曰是居也前有平地輪廣十丈中有平臺半平地臺南有方池倍平臺環池多山竹野卉池中生白蓮白魚又南抵石有古松老杉大僅十人圍高不知幾百尺修柯戛雲低枝拂潭如幢竪如蓋張如龍蛇走松下多灌叢蘿蔦葉蔓駢織承翳日月光不到地盛夏風氣如八九月時下鋪白石爲出入道堂北五歩據層崖積石嵌空垤堄雜木異草蓋覆其上緑陰蒙蒙朱實離離不識其名四時一色又有飛泉植茗就以烹燀好事者見可以銷永日堂東有瀑布水懸三尺瀉階隅落石渠昏曉如練色夜中如環珮琴筑聲堂西倚北崖右趾以剖竹架空引崖上泉脈分綫懸自簷注砌纍纍如貫珠霏微如雨露滴瀝飄灑隨風遠去其四傍耳目杖屢可及者春有錦繡谷花夏有石門雲秋有虎谿月冬有鑪峯雪陰晴顯晦昏旦含吐千變萬狀不可殫紀覼縷而言故云甲廬山者
噫凡人豐一屋華一簣而起居其閒尚不免有驕穩之態今我爲是物主物至致知各以類至又安得不外適内和體寧心恬哉昔永遠宗雷輩十八人同入此山老死不返去我千載我知其心以是哉矧予自思從幼迨老若白屋若朱門凡所止雖一日二日輒覆蕢土爲臺聚拳石爲山環斗水爲池其喜山水病癖如此
一旦蹇剥來佐江郡郡守以優容而撫我廬山以靈勝待我是天與我時地與我所卒獲所好又何以求焉尚以冗員所羈餘累未盡或往或來未遑寧處待予異時弟妹婚嫁畢司馬歳秩滿出處行止得以自遂則必左手引妻子右手抱琴書終老於斯以成就我平生之志清泉白石實聞此言
時三月二十七日始居新堂四月九日與河南元集虚范陽張允中南陽張深之東西二林長老湊朗滿晦堅等凡二十有二人具齋施茶果以落之因爲草堂記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 


 

 

 

 

 

  (注)  1. 本文は新釈漢文大系101 『白氏文集 五』(岡村繁著、明治書院平成16年
        2月10日初版発行)によりました。 ただし、返り点・句読点は省略しました。
        草堂記は、『白氏文集』巻第二十六に収められています。
         この「草堂記」という題は、新釈漢文大系の解題によれば、英華本(巻八二
        七)・文粋本(巻七十四)・全唐文本(巻六七六)は、いずれも「廬山草堂記」と
         し
てある由です。
       2.新釈漢文大系本には、書き下し文・通釈・語釈がついています。
       3. 本文中の漢字      は、島根県立大学の
“e漢字”を利用させていた
        だきました。
          なお、「
頽然 の「」は、本文では右の「頁」が「貴」となっている漢字
        ですが、この漢字が表記できないので、「
頽」としてあります。
       4. 白居易(はくきょい)=中唐の詩人。字は楽天、号は香山居士。太原(山西
             太原)の人。その詩は流麗で平易、広く愛誦され、日本の平安朝文
             
学にも多大の影響を与えた。「長恨歌」「琵琶行」など最も人口に膾
             炙
(かいしゃ)し、「白氏文集」の著のほか、社会の矛盾を指弾した「新
             楽府」50首がある。(772~846)  
 
         白氏文集(はくしぶんしゅう)(ハクシモンジュウとも) =唐の白居易の詩文集。
             現存71巻。824年に元稹(げんじん)が編んだ「白氏長慶集」50巻に自
             選の後集20巻、続後集5巻を加えたもの。平安時代に渡来、「文集」
             または「集」と呼ばれ、広く愛読されて当時の文学に影響を与えた。         
                                        
(以上、『広辞苑』第7版による。)
       5.  『白氏文集』という書名の読み方について
         
『ウィキペディア』の「白氏文集」の項の注に、「日本では従来「はくしもんじゅ
        う」と呼びならわされてきたが、近年の研究により鎌倉期以降明治20年頃まで
        「-ぶんしゅう」であり、「-もんじゅう」は明治以後に生じた慣用であることが
        指摘されている」とあります。
          未見ですが、『白氏文集は〈もんじゅう〉か〈ぶんしゅう〉か 〝文集‶閑談 』
        (明治大学教授・神鷹徳治著、遊学社・2012年11月初版)があります。
                     上に挙げた『広辞苑』でも、第6版までは項目は「はくしもんじゅう」として、「(ハ
        クシブンシュウとも)」としてありましたが、第7版では項目が「はくしぶんしゅう」で、
        「(ハクシモンジュウとも)」となっています。

       6.  『大手前大学論集』第9号(2008年)に掲載された、丹羽博之教授の「白楽天
        の草堂生活」という論文を、読むことができます。 
             → 
丹羽博之 「白楽天の草堂生活」
       7. フリー百科事典『ウィキペディア』に、「白氏文集」の項があります。
            → フリー百科事典『ウィキペディア』  → 「白氏文集」
 
                                


                                  

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