寛文8年(1668年)、会津初代藩主・保科正之は、会津藩の憲法ともいうべき家訓(かきん)15条かを制定しました。 その家訓(かきん)を次に掲げます。 |
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一、 | 大君之義一心大切可存忠勤不可以列國之例自處焉若懷二心則非我子孫面々決而不可從 | ||
一、 | 武備不可怠選士可爲本上下之分不可亂 | ||
一、 | 可敬兄愛弟 | ||
一、 | 婦人女子之言一切不可聞 | ||
一、 | 可重主畏法 | ||
一、 | 家中可勵風儀 | ||
一、 | 不可行賄求媚 | ||
一、 | 面々不可依怙贔屓 | ||
一、 | 選士不可取便辟便佞者 | ||
一、 | 賞罰家老之外不可參知之若有出位者可嚴格之 | ||
一、 | 不可使近侍者告人之善惡 | ||
一、 | 政事不可以利害枉道理僉議不可挾私意拒人言不藏所思可以爭之雖甚相爭不可介于我意 | ||
一、 | 犯法者不可宥 | ||
一、 | 社倉爲民置之爲永利者也歳饑則可發出濟之不可他用之 | ||
一、 | 若失其志好遊樂致驕奢使士民失其所則何面目戴封印領土地哉必上表可蟄居 |
一、 | 大君の義、一心大切に忠勤を存すべし。列國の例を以て自ら處るべからず。若し二心を懷かば、則ち我子孫に非ず。面々決して從ふべからず。 | ||
一、 | 武備怠るべからず。士を選ぶを本とすべし。上下の分、亂すべからず。 | ||
一、 | 兄を敬ひ、弟を愛すべし。 | ||
一、 | 婦人女子の言、一切聞くべからず。 | ||
一、 | 主を重んじ、法を畏るべし。 | ||
一、 | 家中、風儀を勵むべし。 | ||
一、 | 賄を行ひ、媚を求むべからず。 | ||
一、 | 面々、依怙贔屓すべからず。 | ||
一、 | 士を選ぶには、便辟便佞の者を取るべからず。 | ||
一、 | 賞罰は家老の外、之に參知すべからず。若し出位する者有らば、之を嚴格にすべし。 | ||
一、 | 近侍の者をして、人の善惡を告げしむべからず。 | ||
一、 | 政事は、利害を以て道理を枉ぐべからず。僉議は、私意を挾みて人言を拒むべからず。思ふ所を藏せず、以て之を爭ふべし。甚だ相爭ふと雖も、我意を介すべからず。 | ||
一、 | 法を犯す者は宥すべからず。 | ||
一、 | 社倉は民の爲に之を置く。永く利せんとする爲のものなり。歳饑うれば、則ち發出して之を濟ふべし。之を他用すべからず。 | ||
一、 | 若し其の志を失ひ遊樂を好み驕奢を致し、士民をして其の所を失はしめば、則ち何の面目ありて封印を戴き土地を領せんや。必ず上表して蟄居すべし。 |
(注) | 1. |
『八重のふるさと福島県』というサイトの「ふくしまと八重」に、「八重が学んだ「精神」」として、「会津家訓(かきん)15カ条」が示されています。
→ 「会津家訓(かきん)15カ条」 また、『国立国会図書館デジタルコレクション』に、『日本教育文庫 家訓篇』(同文館編輯局編纂、同文館 ・明治43年4月20日発行)があり、ここに「保科正之家訓」として収録されています。 →『国立国会図書館デジタルコレクション』 →『日本教育文庫 家訓篇』 234~235 / 400 |
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2. | 上の「家訓15カ条」の本文は、上記のサイトその他の資料を参考にして記載しました。
なお、「家訓」には、「かくん」「かきん」の二つのよみがあります。会津藩では、「かきん」と読ませていたようです。 「訓」の音=クン(呉音・漢音) ・ キン(唐宋音) (『改訂新版 漢字源』2002年による。) |
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3. | 第14番目の「社倉爲民置之」の次の「爲永利者也」は、本によっては、「非爲求利者也」となっているものがあります。 | ||||
4. | 原文は漢文なので、それをどう読むかによって、書き下し文には数種の本文があるようです。 | ||||
5. |
〇保科正之(ほしな・まさゆき)=江戸前期の会津藩主。徳川秀忠の四男。保科氏の養子。会津23万石に封じられ、将軍家綱を補佐。社倉を建て領民を保護。儒学を好み山崎闇斎を招き、また吉川惟足(これたる)の神道説を学び、その伝授を得た。諡号(しごう)は土津霊神(はにつれいじん)。(1611─1672)
(『広辞苑』第6版による。) 〇保科正之(ほしなまさゆき)=1611-72 (慶長16-寛文12)江戸前期の大名。2代将軍徳川秀忠の妾腹の子。3代将軍家光の異母弟。信濃高遠藩主保科正光の養子となり、のち会津藩主。1651(慶安4)家光死後遺言により4代将軍家綱の補佐となって幕政に重きをなした。また朱子学の信奉者で著書に「輔養編」「二程教録」「会津家訓」などがある。 (『角川日本史辞典』第2版による。) |
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6. |
フリー百科事典『ウィキペディア』に、保科正之の項があります。 フリー百科事典『ウィキペディア』 → 保科正之 |