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中 風 |
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(第一方) |
(第一方) |
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▲ 諸中風(もろもろのちうふ)ニ吉 |
諸中風 |
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晩蠶砂 かいこのふんなり |
漢方医学の原典とも云うべき「病源候論」の風諸病(上)中に、凡そ二十九 |
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右好酒ニ一夜ひた |
の徴候を論じている。即ち、中風候、風候、風口噤候、風舌強不得語 |
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し干粉ニして湯 |
候、風失音不語候、風口喎候、風偏枯候、風四支攣不得届伸候、風痺 |
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或(あるいは)酒にて用 虚證(きょしょう) |
手足不随候、風手身不随候等々。何れにせよ、今日の脳卒中による神 |
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なるにハ晩蠶乃蝶 |
経症状、片側肢麻痺、言語障害等に比定し得るものであるが、これら諸 |
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に成(なり)たるを加へて用(もちゆ) |
徴候は「風気の人に中(あた)るなり」によって発症するものと考えていた。 |
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晩蚕砂(ばんさんしゃ) 秋蚕の蚕糞である。 |
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蚕沙(Bombycis Faeces)は去風、除湿、冷瘀血、腰脚冷疼、偏枯、癰を治すという。 その化学的成分は植物成長ホルモン(ヘテロキシン)やヒスチヂン、ロイシン、リジン、フィトールβ-sitosterol, cholesterol ergosterol, tetracosanol, lupeol, Vitamin A, B, 葉緑素、尿酸、カリウム、カルシウム等である。リウマチ、半身不随に常用され、鎮痛、鎮痙、鎮静薬として定評があった。 |
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虚證 「虚」とは真気の不足なり(素問)つまり体力、気力、なく銷衰し、疾病に対する抵抗力の低下乃至脱失の狀態と解してよいであろう。 |
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晩蚕の蝶 かいこの蛾。 体中に含まれる蛋白質を以て栄養補給をねらったものであろう。 |
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……………… |
……………… |
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(第一二七方) |
(第一二七方) |
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▲ 魚目 千日瘡とも云 |
呪術的療法であろう。 |
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白米(はくまい)一粒(りゅう)をうをのめにを |
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しあて小刀(こがたな)のさきに |
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て米の上に十の字を |
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かき溝の中へすつれ |
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は米くちたる時魚の |
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めぬくるなり |
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(第一二八方) |
(第一二八方) |
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又方塩漬茄子(しおづけなすび)切片(きりへぎ)魚(うをの) |
不詳。 |
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目をすりて吉 |
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(第一二九方) |
(第一二九方) |
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又方蜂(はち)の子かへらぬ時(とき)と |
蜂の子 |
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りすりただらかし付吉 |
土蜂の子は廱腫を治することが和語本草にあり。 |
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(第一三〇方) |
(第一三〇方) |
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又方秋ぐミ葉茎(はくき)ともに |
ぐミ葉 外用効果不詳 |
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きさミせんじあらいて吉 |
アキグミ Elaeagnus umbellata Thunb. |
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……………… |
……………… |
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(第二六九方) |
(第二六九方) |
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▲ 虫歯(むしは)薬 |
焼酎 |
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焼酎(しょうちゅう)にて口をすすぎ又 |
アルコールによる局所の殺菌と鎮痛鎮静には有効であろう。 |
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ハふくミよし |
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(第二七〇方) |
(第二七〇方) |
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又方杉脂(すぎやに)又ハ桧脂(ひのきやに)丸じ |
杉脂 薬効不詳。 |
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て虫歯の穴に入吉 |
桧脂 薬効不詳。 |
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(お断り:「風候」「癰」の「」(疒+意)・「」(疒+奐)の漢字 は、島根県立大学の“e漢字”を利用させていただきました。) |
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