(注) | 1. |
上記の「杜牧の詩「山行」」の本文および訓読は、漢文学習叢書(3)『漢詩』(藤野岩友著、旺文社・昭和32年6月30日初版発行)によりました。 ただし、第2句は「白雲生ずる処に人家有り」と読んであるのを、ここでは引用者の覚えている形で「白雲生ずる処 人家有り」と読んだことをお断りしておきます。 また、「石径(石徑)」を「せきけい」と読んでいますが、人によっては「せっけい」と促音にして読むこともあります。 |
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2. | この詩の出典は、『三体詩』巻一、『全唐詩』巻五百二十四(巻524)などです。 | ||||
3. |
藤野氏の『漢詩』の「参考」によれば、 (1)「停車」は山行にはふさわしくないので、「停歩」の誤りとする説がある。 (2)「楓」は、カエデとは異なる植物で、葉が掌状に三裂し、秋に紅葉するオカツラのこと。 (3)この詩を出典として、「紅於」という言葉が紅葉の意に用いられている。 (4)「二月花」は桃の花を言うとの説がある。 (同書、100頁) * 〇オカツラ(男桂・楓)=フウ(楓)の古名。〈和名抄二〇〉 〇フウ(楓)=(カエデとは別種) マンサク科の落葉高木。中国・台湾に自生。高さ約10㍍。秋、紅葉する。春、新葉と共に黄褐緑色の雌雄花を開き、とげのある球形の果実を結ぶ。街路・公園などに植え、また樹脂を楓香脂(ふうこうし)と呼び、薬用。同属近似種に北米産のモミジバフウがある。イガカエデ。賀茂楓(かもかつら)。古名、かつら・おかつら。 (以上、『広辞苑』第6版によりました。なお、『広辞苑』には、フウの挿絵が載っています。) なお、この詩の「車」とは、人力でかつぐ輿(こし)のことで、山駕籠のようなものだそうです。 ※ フウ(楓)は、「別名、サンカクバフウ(三角葉楓)、タイワンフウ(台湾楓)、イガカエデ(伊賀楓)、カモカエデ(賀茂楓)。古名、オカツラ(男桂)」と、フリー百科事典『ウィキペディア』の「フウ」の項にあります。 |
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4. | 〇杜牧(とぼく)
=晩唐の詩人。字は牧之。号は樊川(はんせん)。京兆万年(陝西西安)の人。剛直で気節があり、詩は豪放、また艶麗で洒脱。杜甫に対して小杜と呼ばれる。書画にも秀で、兵法をよくし孫子の注釈がある。詩文集「樊川文集」。(803-853) * 引用者注: 杜牧の没年を、852年とする本もあります。 〇三体詩(さんたいし)=(サンテイシとも)「唐賢三体詩家法」の略称。 →三体唐詩。 〇三体唐詩(さんたいとうし)=唐詩の中から七言絶句・七言律・五言律の三体を選んで編纂した書。詩人167人の作を収録。6巻。宋の周弼(しゅうひつ)編。1250年成る。原題は「唐賢三体詩家法」。三体詩。 〇全唐詩(ぜんとうし)=唐代の詩を網羅的に集めた勅撰詩集。900巻。清の康煕帝の命により、彭定求らが撰。1706年完成。作者2200人余、詩数4万 8900首余。 (以上、『広辞苑』第6版による。) |
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5. | フリー百科事典『ウィキペディア』に「杜牧」の項があります。 | ||||
6. | 『詩詞世界』(碇豐長の詩詞)というサイトに、この詩の解説があります。 『詩詞世界』(碇豐長の詩詞)→ 杜牧「山行」 |