資料355 詰将棋の規則(詰将棋のルール) 



       詰将棋の規則(詰将棋のルール)

詰将棋を解いてみて、気づいた詰将棋の規則(詰将棋のルール)について書いてみました。
専門的な事項は、別のサイトを参照していただくとして、ここにはごく普通の規則を記載して
あります。 (お気づきの点をお知らせください。)


1.攻め方から指し始め、王手の連続で詰めること。 
2.攻め方は、最短手数で詰めること。
3.玉方は、手数が最も長くなる最善の指し手で逃げること。
4.盤面及び持ち駒以外の余り駒は、王の駒を除いてすべて玉方の持ち駒であり、合駒として使用することができる。
5.攻め方の最終手が複数のどの駒で取っても詰む場合は、位の高い方の駒で取るのが、玉に対する礼儀である。(飛角金銀桂香歩の順。例えば、「▲2一金」でも「▲2一龍」でも、どちらでも詰む場合は、「▲2一龍」で詰める、ということ。)
 なお、このことは大山15世名人の本(『実戦に強くなる詰将棋100』(日本文芸社、平成7年12月20日発行))にあったものですが、同書10頁の「◎詰将棋の規則」の8番目に、「一、攻め方
 最後どの駒で取っても詰みのときは、位の高い方の駒で詰めること。(飛角金銀桂香歩の順)」とあります。
(なお、大山名人のこの規則には、「玉方最後どの駒で取っても詰みのときは、位の高い方の駒で取ること。(玉飛角金銀桂香歩の順)」ともあります。これは、例えば、玉方△2二同玉、△2二同馬のどちらでも次の一手で詰みという場合、どちらも正解だが、位の高いほうの駒で取るということで、△2二同玉のほうを取る、ということです。私には、この場合はむしろ逆に、位の低いほうの駒で取ったほうがよいようにも思われますが、如何なものでしょうか。)(2013年5月23日、一部書き直しました。)
6.その他、指し将棋の規則がすべて適用される。(例えば、二歩・打ち歩詰め・行き場所のない駒の禁じ手など。)
7.千日手は、正解とはならない。
8.正解手順は一つしかないのが原則であるが、
  a.正解手順が二つ以上ある場合は、持ち駒の余らない方を正解とする。
  b.正解手順が二つ以上あって、どちらも持ち駒が余らない場合は、いずれも正解とする。
9.合駒をする場合、無駄な合駒はしないこと。
  無駄な合駒とは、その合駒がすぐ取られて、合駒をしなかったのと同じ結果になる場合や、単に2手延びるだけの合駒をいう。

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 ☆ 指し手の表記の仕方について
  (これは詰将棋に限ったことではありませんが、参考までにいくつか記しておきます。詳しくは、『日本棋院』のホームページにある「棋譜の表記方法」(注6)等を参照してください。)
  〇 同じ駒の左右について 
  駒の左右の表記は、それぞれ玉方、攻め方から見ての左右です。
  例えば、玉方の駒に△4一金、△6一金と二つの金があって、△6一金を△5二金と動かす場合、「△5二金右」とする。(玉方から見て「右の金」の意。)
  同様に、攻め方の駒に▲2四金、▲4四金と二つの金があって、▲4四金を▲3三金と動かす場合、「▲3三金左」とする。(攻め方から見て「左の金」の意。)
  〇 到達地点(指そうとする場所)に複数の同じ駒が動ける場合、どの駒が動いたのかを明示するために、次のように表記します。(到達地点(指そうとする場所)に動ける同じ駒がない場合は、必要ありません。)
  A. 同じ駒がそれぞれ到達地点の上下に分かれている場合
    上の段に上がる時は、「上」と書く。(例、「▲3五飛上」。この「上」を「行」と書く人もある。)
    下の段に下がる時は、「引」と書く。(例、「▲3五飛引」)
     (例えば、攻め駒に▲3二馬と▲3四馬とがあって、▲3四馬を▲2三馬と動かす場合は「▲2三馬上」、▲3二馬を動かす場合は「▲2三馬引」とする。)
  B. 同じ駒がどちらも到達地点の上方か下方の一方に偏っている場合、
    a.それぞれの駒が違う段にある場合は、「左」「右」と書く。(「上」「下」は不要。例、「▲3四銀右」)
    b.同じ段に2枚の同じ駒がある場合は、上がる時も下がる時も、横に動く時も、「左」「右」と書くが、金、銀、及び龍・馬を除く成り駒が横に2枚以上並んでいる場合で、1段まっすぐ上に上がる時は、「直」と書く。(直=すぐ。例、「▲5二金直」)
  C. 同じ段に横に動く駒が1枚だけしかない場合は、「寄」と書く。(例、「▲4二飛寄成」「▲3三金寄」)
     (例えば、攻め駒に▲2二飛と▲4五飛とがあって、▲2二飛を▲4二飛成とする場合は、「▲4二飛寄成」とする。攻め駒に▲2三金と▲3二金とがあって、▲2三金を▲3三金と横に動かす場合も、同じように「▲3三金寄」とする。)
  D. 同じ段に2枚の同じ駒がある場合は、上がる時も下がる時も、横に動く時も、すべて「左」「右」と書き、「上」「下」「寄」は省略する。
     ただし、金、銀、及び龍・馬を除く成り駒が横に2枚並んでいる場合で、1段まっすぐ上に上がる時は、「直」と書く。(直=すぐ) (例、「▲5五金直」)
  〇 合駒について
   例えば、金を合駒にする場合は「△〇〇金合」と書く。どの駒を合駒にしても同じ場合は「△〇〇合」と書き、駒の種類を明示する必要はない。
  〇 「成」「不成」の表記について
  攻め方の駒が玉方の陣地に入って駒が成る場合は、「▲〇〇飛成」などと書き、成らない場合は「▲〇〇飛不成」などと明示する。
  (例えば、もし攻め方の駒が「▲3二角」「▲3四角」であって、▲3二角を▲2三角成と動かす場合は、「▲2三角引成」と書く。角が▲2三角不成と成らない場合は、「▲2三角引不成」と書く。)
  〇 「打」の表記について
  例えば、金を打とうとする場所に、そこへ動かすことのできる盤面の自分の金が他にある場合は、「▲〇〇金打」と、「打」を書く必要がある。そうしないと、盤面の金を動かしたともとれるので、正解とはならない。

 ☆  作者の意図
  詰めの手順が複数ある場合、問題の作者の意図を汲んで、作者の意図した解答をすることが望ましい、あるいはそれが正しい態度だ、という意見があるようです。
  例えば、大山15世名人の『実戦に強くなる詰将棋100』にも、「△3二玉のところ△3四同歩は▲4四金以下同手数で詰むが、詰め方に妙味がない」(196頁)として、△3二玉を取っておられます。これは、△3二玉が作者の意図する詰め手順だ、ということでしょう。
                           (2011年1月12日記)  


  (注) 1. 上記の「詰将棋の規則(詰将棋のルール)」を書くにあたって、次の参考書等を参考にさせていただきました。
〇『日本将棋連盟』のホームページの「棋譜の表記方法」(注6参照)
〇村山隆治著『詰将棋手筋教室─基本テクニックオールガイド─』(毎日コミュニケーションズ、2000年6月30日第1刷行)  
〇大山康晴著『実戦に強くなる詰将棋100』(日本文芸社、平成7年12月20日発行) 
   
    2.  「2手手数が長くなっても持ち駒が余る場合は、2手手数が短くなっても攻め方に駒が余らないように玉が逃げるのを正解とする」というルールもあるようですが、これは詰将棋の本筋から見た場合、如何なものでしょうか。    
    3.  ネット上に、詰将棋のルールを解説したページがいろいろ見られます。そのうちのいくつかを次に紹介しておきます。
〇フリー百科事典『ウィキペディア』「詰将棋」の項
『詰将棋パラダイス』の中の「詰将棋のルール」
『将棋タウン』「詰将棋専門学校」の中の「詰将棋のルール」
   
    4.   俗に「綿貫既規約」と呼ばれる、全日本将棋連盟が1963年に発表した「詰将棋規約 草案」が、 『温故知新』というサイトに掲載されています。興味のある方はご覧ください。    
    5. 『詰将棋メモ』というサイトがあって、参考になります。    
    6. 『日本将棋連盟』のサイトの「よくあるご質問」に、「棋譜の表記方法」があります。    
    7. 『将棋タウン』「棋譜の読み方、基礎編」があります。    
    8.  嘗てNHK教育テレビでは、毎週日曜日の午前10時から10時20分まで、「将棋講座」を放送していて、講座の最後に詰将棋の出題がありました。正解者には抽選で毎週10名に、NHK杯将棋選手権者揮毫の扇子が贈られていました。 
しかし残念ながら、2011年4月から詰将棋の出題がなくなってしまいました。
   






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