資料315 野口英世に宛てた母シカの手紙




        野口英世に宛てた母シカの手紙

    
おまイの ○ しせにわ ○ みなたまけました ○ わたく
しもよろこんでをりまする ○ なかた
のかんのんさまに ○ さまにねん ○ よこもりを ○ い
たしました ○ べん京なぼでも ○ きりかない
○ いぼし ○ ほわこまりをりますか ○ おまい
か ○ きたならば ○ もしわけかてきま
しよ ○ はるになるト ○ みなほかいドに
○ いてしまいます ○ わたしも ○ こころ
ぼそくありまする ○ ドかはやく
きてくだされ ○ かねを ○ もろた ○ こトた
れにもきかせません ○ それをきかせるト
みなのまれて ○ しまいます ○ はやくき
てくたされ ○ はやくきてくたされ
はやくきくたされ ○ はやくきて
くたされ ○
いしよのたのみて ○ ありまする
にしさむいてわ ○ おかみひかしさむ
いてわおかみ ○ しております ○ き
たさむいてわおかみおります ○
みなみたむいてわおかんておりま
する ○ ついたちにわしをたちをし
ております ○ ゐ少さまに  ○ついた
ちにわおかんてもろております
る○なにおわすれても ○ これわす
れません ○ さしんおみるト ○ いただいております
る ○ はやくきてくたされ ○ いつくるトおせて
くたされ ○ これのへんちちまちてをり
まする ○ ねてもねむられません


  (注) 1.  上記の「野口英世に宛てた母シカの手紙」の本文は、母シカの手紙の写真によりました。
 改行は、手紙の通りにしてあります。手紙の日付は、明治45年1月23日です。         
   
    2.   福島県猪苗代町にある『野口英世記念館』のホームページがあります。
   → 母シカの手紙 
   
3.   フリー百科事典『ウィキペディア』に、「野口英世」の項があります。
    4.   『くらげ男の日々』というブログで、「野口英世にあてた、母の手紙」(前半部分)を画像で見ることができます。    
    5.  福島県折込広告社の『あらかると』(2004.October Vol.214)に、野口英世が特集されており、ここで、母シカの手紙の全文を、画像で見ることができます。ここには、野口英世の生涯についての紹介もあり、写真などもあってたいへん参考になります。
   残念ながら現在は見られないようです。(2016年9月29日)
   
    6.   国立科学博物館で、日本の科学者技術者展第6回『Dr.NOGUCHI  世界を勇気づけた科学者・野口英世』が、2008年5月20日から7月21日まで、開かれました。(ここに「展覧会概要」が出ていて、参考になります。)    
    7.  国立国会図書館の『近代日本人の肖像』で、「野口英世」の肖像が見られます。    
    8.  『野口英世と東京歯科大学』というサイトに、野口英世の「年譜」「野口英世の生涯」「野口英世の『歯科医学叢談』『歯科学報』掲載論文・東京歯科医学院講義録」があります。    
    9.  『玄侑宗久公式サイト』に、玄侑氏のエッセイ「念ずる力─野口英世の母・シカの手紙」が出ています。    
    10.  『ぶらり重兵衛の歴史探訪2』というサイトの「会ってみたいな、この人に」(銅像巡り)の中に、「野口英世」のページがあり、そこで猪苗代の野口英世記念館にある銅像の写真のほか、生家や囲炉裏、誕生碑と忍耐の碑の写真、年譜などが見られます。
 また、上野公園にある野口英世の銅像や、横浜検疫所長浜庁舎にある野口英世博士のレリーフも見られます。      
   
    11.  手紙の本文を普通の形に書き直してみます。なお、語句の注釈は、福島県立図書館の「図書館だより」第148号(2004年・平成16年・8月6日号)を参照させていただきました。

お前の出世には、皆たまげました。わたくしも喜んでをりまする。中田の観音様に、毎年(まいねん)、夜籠(よこも)りをいたしました。勉強なんぼでも切りがない。烏帽子(近所の地名。ここは、烏帽子という村からのお金の催促のこと)には困りをりますが、お前が来たならば、申し訳ができましょう。春になると、みな北海道に行つてしまひます。わたしも、心細くありまする。どうか早く来てくだされ。金を貰うたこと、誰にも聞かせません。それを聞かせると、みな飲まれてしまひます。早く来てくだされ。早く来てくだされ。早く来てくだされ。早く来てくだされ。一生の頼みでありまする。西さ向いては拝み、東さ向いては拝みしてをります。北さ向いては拝みをります。南さ向いては拝んでをりまする。一日(ついたち)には、塩断ちをしてをります。栄昌様(隣家の鵜浦栄昌。天台宗の修験者)に一日(ついたち)には拝んでもろてをりまする。なにを忘れても、これ忘れません。写真を見ると、戴いてをりまする。早く来てくだされ。いつ来ると教へてくだされ。これの返事待ちてをりまする。寝ても眠られません。
   








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