資料227 三木露風の詩「ふるさとの」(詩集『廃園』所収)




 

            ふるさとの       
                   
三 木 露 風

 

ふるさとの
小野の木立に
笛の音
(ね)
うるむ月夜や。

少女子
(をとめご)
熱きこゝろに
そをば聞き
涙ながしき。

十年(とゝせ)經ぬ、
おなじ心に
君泣くや
母となりても。

 

 

 

 

 

 

 

  (注) 1.  『国立国会図書館デジタルコレクション』の中に、三木露風の詩集『廢園』の本文画像が出ていますので、そこで詩の本文を見ることができます。  
  『国立国会図書館デジタルコレクション』
  → 詩集『廢園』(光華書房、明治42年9月20日発行)
 
166~167 / 182 が「ふるさとの」の詩のページです。)

 詩集『廢園』では、総ルビになっていますが、ここでは引用者が必要と認めたもの以外は、ルビを省略してあります。
 
    2.  上記の「ふるさとの」の詩の初出は、明治40年12月の『文庫』で、のちに詩集『廢園』(光華書房、明治42年9月発行)に収められました。
 この詩は、詩集『廢園』の最後に、「二十歳までの抒情詩」として、28篇掲載されているうちの一篇です。
 『廢園』のこの詩のあとに、「明治四十年十月」とありますから、この詩は露風満18歳の時の作だということになります。(露風は、明治22年6月23日の生まれです。)
 
    3.  『四季・コギト・詩集ホームページ』というホームページの中に、『廃園』の画像が入っていますので、ここで「ふるさとの」という詩を読む(見る)ことができます。
 詩集『廢園』の本文画像
(外箱の画像から始まります)
 
175~176 / 187 「ふるさとの」の詩のページです。
 
    4.  吉田精一著『鑑賞現代詩 I 明治』(筑摩書房、1966年10月20日新版第1刷発行)に、この詩が取り上げてあります。  
    5.  三木露風(みき・ろふう)=詩人・歌人。本名、操。兵庫県生れ。1907年(明治40)相馬御風らと早稲田詩社を結成、「白き手の猟人」で神秘的な象徴詩を完成。ほかに「廃園」「幻の田園」など。(1889-1964)(『広辞苑』第6版による。)  
    6.  『早稲田と文学』というサイトの「作家一覧」に、「三木露風」のぺージがあります。そこで、露風の肖像写真や、詩集『廃園』の表紙写真、「赤とんぼ」の自筆歌詞、生家の写真などが見られます。  
    7.  この詩には、斎藤佳三(1887-1955)が曲をつけています。  
    8.  『YouTube』に出ている「ふるさとの」から、次の歌を紹介しておきます。
  → 「ふるさとの」(三木露風作詩、斎藤佳三作曲)
 
         
         


 

 

                  

 

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