資料20 憲法十七条(聖徳太子)本文





         憲法十七條


 一曰、以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨。亦少達者。是以、或不順君父。乍違于隣里。然上和下睦、諧於論事、則事理自通。何事不成。
 二曰、篤敬三寶。々々者佛法僧也。則四生之終歸、萬國之極宗。何世何人、非貴是法。人鮮尤惡。能敎從之。其不歸三寶、何以直枉。
 三曰、承詔必謹。君則天之。臣則地之。天覆地載。四時順行、萬氣得通。地欲覆天、則致壞耳。是以、君言臣承。上行下靡。故承詔必愼。不謹自敗。
 四曰、群卿百寮、以禮爲本。其治民之本、要在乎禮。上不禮、而下非齊。下無禮、以必有罪。是以、群臣有禮、位次不亂。百姓有禮、國家自治。
 五曰、絶餮棄欲、明辨訴訟。其百姓之訟、一日千事。一日尚爾、況乎累歳。頃治訟者、得利爲常、見賄聽讞。便有財之訟、如石投水。乏者之訴、似水投石。是以貧民、則不知所由。臣道亦於焉闕。
 六曰、懲惡勸善、古之良典。是以无匿人善、見惡必匡。其諂詐者、則爲覆國家之利器、爲絶人民之鋒劔。亦佞媚者、對上則好説下過、逢下則誹謗上失。其如此人、皆无忠於君、无仁於民。是大亂之本也。
 七曰、人各有任。掌宜不濫。其賢哲任官、頌音則起。姧者有官、禍亂則繁。世少生知。剋念作聖。事無大少、得人必治。時無急緩。遇賢自寛。因此國家永久、社禝勿危。故古聖王、爲官以求人、爲人不求官。
 八曰、群卿百寮、早朝晏退。公事靡盬。終日難盡。是以、遲朝不逮于急。早退必事不盡。
 九曰、信是義本。毎事有信。其善惡成敗、要在于信。群臣共信、何事不成。群臣无信、萬事悉敗。
 十曰、絶忿棄瞋、不怒人違。人皆有心。々各有執。彼是則我非。我是則彼非。我必非聖。彼必非愚。共是凡夫耳。是非之理、詎能可定。相共賢愚、如鐶无端。是以、彼人雖瞋、還恐我失。我獨雖得、從衆同擧。
 十一曰、明察功過、賞罰必當。日者賞不在功。罰不在罪。執事群卿、宜明賞罰。
 十二曰、國司國造、勿斂百姓。國非二君。民無兩主。率土兆民、以王爲主。所任官司、皆是王臣。何敢與公、賦斂百姓。
 十三曰、諸任官者、同知職掌。或病或使、有闕於事。然得知之日、和如曾識。其以非與聞、勿防公務。
 十四曰、群臣百寮、無有嫉妬。我既嫉人、々亦嫉我。嫉妬之患、不知其極。所以、智勝於己則不悦。才優於己則嫉妬。是以、五百之乃今遇賢。千載以難待一聖。其不得賢聖。何以治國。
 十五曰、背私向公、是臣之道矣。凡人有私必有恨。有憾必非同。非同則以私妨公。憾起則違制害法。故初章云、上下和諧、其亦是情歟。
 十六曰、使民以時、古之良典。故冬月有間、以可使民。從春至秋、農桑之節。不可使民。其不農何食。不桑何服。
 十七曰、夫事不可獨斷。必與衆宜論。少事是輕。不可必衆。唯逮論大事、若疑有失。故與衆相辨、辭則得理。


  (注) 1.  本文は、『日本書紀 下』(『日本古典文学大系』68 ・岩波書店・昭和40年7月5日第1刷発行)によりました。    
    2.  聖徳太子の「憲法十七条」(十七条の憲法)は、現代の憲法が「国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)について国民が定めた決まり(最高法規)で」ある日本弁護士会のホームページよりのにたいして、政治にあたる立場の役人たちが守るべき道徳や心構えを説いたものです。    
    3.  「五曰」に出てくる「頃治訟者、得利爲常、見賄聽讞。」の「讞」は、言+獻(「献」の本字)です。    
    4.  返り点は、省略しました。    
    5.  出典の本文を、「曰」ごとに改行して、読みやすくしました。    
    6.  「憲法十七條」は、『日本書紀 』の推古天皇12年夏4月の項に出ています。「(十二年)夏四月丙寅朔戊辰、皇太子親肇作憲法十七條。」    
    7. 『日本まほろば社会科研究室』というサイトに、「十七条憲法」の原文・書き下し文・現代語試訳があって、たいへん参考になります。    
    8.  フリー百科事典『ウィキペディア』に、「十七条憲法」があります。    








            トップページへ