資料157 高啓「尋胡隠君」



  
        尋胡隱君     高 啓   
         渡 水 復 渡 水        
         看 花 還 看 花        
         春 風 江 上 路        
         不 覺 到 君 家        

  

      胡隠君を尋ぬ  高 啓
     水を渡り、復た水を渡り、
     花を看、還た花を看る。
     春風、江上の路、
     覚えず、君が家に到る。


  (注) 1.  上記の詩の本文は、ワイド版岩波文庫『中国名詩選(下)』(松枝茂夫編、1991年1月24日第1刷発行)によりました。    
    2.  初句を、「水を渡り、復た水を渡る。」と、切って読む人もいます。    
    3.  第三句は、「春風(しゅんぷう)、江上(こうじょう)の路(みち)」と読みます。             
    4. 語注
 〇胡隠君……胡という名の隠者。「胡」は姓。「隠君」は、仕官せずに俗世間との交際を絶っている人。=隠者・隠士。(前記の『中国名詩選(下)』には、「隠君は隠者の尊称」とあります。) 
 〇花……中国の詩なので、ここでは桃や李(すもも)などの花を指す。
 〇江上……「江」は普通、揚子江を指すが、ここは一般の川を指している。「上」は、ほとり、の意。
   
    5.  〇高啓(こうけい)=(1336-1374)中国、元末・明初の詩人。 字(あざな)は季迪(きてき)。号は青邱子(せいきゅうし)。詩風は軽快で平明。友人の罪に連座して刑死。作「高青邱詩集」など。 (『大辞林』第2版による)
  〇高啓(こうけい)=明初の詩人。字は季迪(きてき)。青邱子と号す。長洲(江蘇蘇州)の人。明代屈指の大家。友人の罪に連坐して腰斬の刑を受けた。その詩は江戸・明治の日本で愛誦された。著「高太史大全集」(1336-1374)   (『広辞苑』第6版による)
   
           





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