(注) | 1. |
本文は新釈漢文大系 16
『古文真宝(後集)』(星川清孝著、明治書院昭和38年7月20日初版発行、昭和46年5月10日14版発行)によりました。 ただし、本文に付けてある返り点・句読点、改行等は、省略しました。 |
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2. |
〇諸葛亮(しょかつりょう)=三国時代、蜀漢の丞相。字は孔明。山東琅邪(やろう)の人。劉備の三顧の知遇に感激、臣事して蜀漢を確立した。劉備没後、その子劉禅をよく補佐し、有名な出師表(すいしのひょう)を奉った。五丈原で、魏軍と対戦中に病死。(181~234) 〇出師表(すいしのひょう)=蜀漢の諸葛亮(しょかつりょう)が、劉備没後、魏を討つため出陣するにあたり、後主劉禅に奉った前後二回の上奏文。うち後出師表は諸葛亮の作でないとされる。 〇 出師(すいし)=軍隊をくり出すこと。出兵。 (以上、『広辞苑』第6版による。) |
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3. | 上に掲げた「出師表」は、「前出師表」に当たるものです。 | ||||
4. | 星川清孝氏は『古文真宝(後集)』の「出師表」の「題意」で、「前表は建興5年(227)に、後表は翌年にたてまつったものである。この表中で、孔明は国家の将来を思い、君主の安逸を戒め、臣下の忠諫をよく聴くべきことを教えている。先主劉備に対する情義を忘れず、純忠至誠、涕泣して書いた孔明の精神は、読む人の心を強く打つものがある」といい、「余説」で、「古来『出師表』を読んで泣かない者は忠臣でないとまで言われたのも、またまことに故あることである」と書いておられます。 | ||||
5. | 漢和辞典(改訂新版『漢字源』学習研究社、2002年4月1日改訂新版発行)に、 「出」 [ 1 シュツ 2 スイ] 1 ①自動詞・でる(いづ)。 ②他動詞・だす(いだす)。 2 ①他動詞・だす(いだす)。 ◇ 自動詞はシュツ、他動詞にはシュツ・スイの両方の音を用いる。 ……とあります。 「出師表」の場合は、「出」は他動詞ですが、「スイ」をとって、「すいしの ひょう」と読んでいます。(なお、「後出師表」は「こうすいしのひょう」と読むようです。) ※ 参考までにいえば、「出納」(すいとう=金銭・物品などの出し入れをする)も、「出」を「スイ」と読んでいます。 |
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6. | 「表」=ここは、臣下が君主にあてて奉る文章のこと。「出師─」 | ||||
7. | 新釈漢文大系18『文章軌範(正篇)下』(前野直彬著、明治書院
昭和37年9月15日初版発行、昭和45年5月10日12版発行)に載っている「前出師表」との本文の異同を、次に示します。 『古文真宝(後集)』 …『文章軌範(正篇)下』 (題 名) 出師表 ………… 前出師表 (作者名) 諸葛孔明 ………… 諸葛武侯 (冒 頭)先帝創業未半 …… 臣亮言先帝創業未半 (以下本文) 益州罷敝 ………… 益州疲弊 先帝之殊遇 ………… 先帝之遇 恢弘志士之氣 ………… 恢志士之氣 若有作奸犯科 ……… 若有作姦犯科 是以衆議擧寵爲督 是以衆議擧寵以爲督 營中之事事無大小悉以咨之… 營中之事悉以諮之 必能使行陣和睦 ……必能使行陣和穆 優劣得所 ……………… 優劣得所也 陛下親之信之 ………… 願陛下親之信之 三顧臣於艸廬之中 ……三顧臣於草廬之中 許先帝以驅馳 …… 遂許先帝以驅馳 受命以來夙夜憂慮 ……受命以來夙夜憂歎 當獎率三軍 …………… 當獎帥三軍 以復興漢室 ………………興復漢室 |